総務省から2020年4月の最新の完全失業率が発表されましたので人材紹介応援研究所より早速レポートいたします。今回はこれまでほとんど注目されていなかった「休業者」が過去最大数の597万人であることが発表されました。いよいよ本格的にコロナショックの影響が数値に現れ始めていますので、休業者数の情報もまとめてレポートします。
最新の各種主要証券会社のレポートでは、4月発表時から各種予想の数字は悪化しているものの、現時点では「不安はあるものの、最悪の長期化収束シナリオではない、比較的短期的収束を一旦は実現している」ということが予想されています。
これからの日本が再び制限体制になるのか、このまま新型コロナウイルスとの共存を実現しながら収束に向けて経済を進めていけるのか?が大きな分かれ道になりますが、決して過度な不安を持つことなく、定量的に短期未来を予想しながら、この環境を人材業界においては「チャンス」に変えるべくチャレンジしていきましょう。
当社で開催する紹介者様向けセミナーではこういった厚生労働省や総務省の情報、証券会社のアナリストレポート等を活用して現状分析、将来予測などを踏まえて、人材業界向けノウハウを提供しています。この記事では、セミナーでお話するような内容を一部お届けします。
2020年4月の完全失業率ダイジェスト
- 前月からは0.1%アップの2.6%。
- 就業者数、雇用者数は共に88ヶ月ぶりの減少。
- 完全失業者数は前月176万人から13万人増加し189万人に。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
完全失業率は有効求人倍率と反比例の関係にありますが、数字に反映されるまでは有効求人倍率よりももう少し時間がかかると想定されます。新規求人が公開されなくなり、既存求人がクローズし、一般的な調整段階として、残業代調整、非正規社員の契約更新停止/中止、派遣社員や業務委託、外注費用の契約中止の後に正社員の雇用調整、リストラクチャリングが行われるため、完全失業率が大きく上昇するのは、早くても2020年第3四半期頃を予想しています。
海外の完全失業率の最新速報値では、2020年4月実績としてすでに非常に大きく上昇しています。
アメリカ 14.7%(前月4.4%)
U.S. Bureau of Labor Statistics (http://www.bls.gov/cps/)
カナダ 13.0%(前月7.8%)
Statistics Canada (http://www.statcan.gc.ca/start-debut-eng.html)
日本との雇用環境や解雇に関連するルール、失業時の保証の額や利便性などの差もあるため、現時点で日本はまだこれらの国のような数値には至っていないものの、有効求人倍率の大幅な減少をみるに、今後の動向ではまだまだ下っていく可能性は十分あると想定しています。
「休業者」は激増の597万人
この数年、ほとんど人材業界において話題になることになかった「休業者」に関して2020年5月29日に衝撃の数字が発表されました。
休業者数は、失業中ではなく主に育児休暇中や、病気等による休職者などを把握するために従来は活用されてきた数値です。独立行政法人労働政策研究・研修機構では次のように定義しています。
仕事を持っていながら調査週間中に病気や休暇などのため仕事をしなかった者のうち、
- 雇用者(その仕事が会社などに雇われてする仕事である場合)で、仕事を休んでいても給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者
- 自営業主(その仕事が自分で事業を経営して行う仕事である場合)で、自分の経営する事業を持ったままで、その仕事を休み始めてから30日にならない者
——のことである。家族従業者は、自分で仕事を持っているとみなされないので、休業者とはならない。また、日雇い労務者なども、仕事を休んでいても休業者とはならない。
通例でも毎月200万人程度は休業者が存在しますが、この3ヶ月程度のコロナショックに連動し短期間のうちで国内休業者の数が約600万人まで激増しました。コロナ対策支援である「雇用調整助成金」などを活用しながら、なんとか雇用維持を継続するための手段として「従業員の休業」を選択する企業が多いという背景もあり、休業者の通常数値を月間約200万人とした際に、+400万人が現在コロナ禍の影響により休業となっていることがわかります。現在の完全失業者数189万人と合わせると約600万人が安定的な就業に対して不安定な状態となり、この数はリーマンショック後となる2009年1月の休業者数153万人を大きく超えており、今後の完全失業率にも影響する母数であると考えます。
当然政府のみならず企業も最大限努力を行い、これら休業者数の雇用維持のために全力を尽くすと考えられるため、休業者すべてが失業となることはないものの、改めて我々人材紹介業界がどのような形で支援していくべきか、という社会的意義が高まっていると私達は考えています。
まとめ
完全失業率の上昇と休業者数の激増に加え、有効求人倍率の減少により、人材ビジネス市場においては、「売り手市場から買い手市場への急激な変換」が短期間で行われることとなります。仮に完全失業率が2009年のリーマン・ショック後の5%程度として、現在の約2倍程度となったとすると、市場稀にみる短期間で200万人程度の新規失業者が転職市場に流入することとなります。さらに休業者や昨今のコロナショックによる潜在的求職者(ポジティブキャンディデイト)が3倍程度とすると、この数ヶ月の間に600万人程度の求職者が就業・転職市場に流入することとなります。
これらの大きなトレンドは日本経済にとって非常に大きな人材の流動化を後押しすることとなり、まさに我々人材紹介業にとって社会的意義を発揮しつつ、事業拡大を図るに非常に大きなチャンスとなります。
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なお当社の各種セミナーで、登壇者が毎度お伝えしているのが「リスクを正しく把握し、可能な限り定量的データで予測をすることで、過度な恐れをなくし、この機会をチャンスとして活用する」ということです。人材紹介応援研究所では、まさに今は「ピンチをチャンスに変える絶好の機会」と考えています。
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