先日、2024年9月の有効求人倍率などの「一般職業紹介状況」が厚生労働省より発表されましたのでレポートいたします。
- 有効求人倍率とは?
- 有効求人倍率とは、求人数を求職者の数で割った値で、求職者1人に対してどれだけの求人があるかをしめしたもの。例えば求人数が100件あり求職者が50人いる場合は、有効求人倍率は100÷50=2.0倍となり、1人に対して2件の求人がある状況ということになる。
- 12024年9月の一般職業紹介状況について
- 4まとめ
2024年9月の一般職業紹介状況について
現在は、新型コロナウイルスが2023年5月に5類感染症に移行したため、大きくニュースなどで取り上げられることは少なくなりました。また、2024年3月には新型コロナワクチン接種の無料期間が終了するなど財政的な支援も終了されました。そのような中で一般職業紹介はどのような状況であったのでしょうか。
一般職業紹介状況ダイジェスト
前月との比較
前月との比較は下記のとおりです。
- 有効求人倍率は1.24倍で0.01ポイント増
- 「正社員」有効求人倍率は1.01倍で同水準
- 新規求人倍率(季節調整値)は2.22倍で0.1ポイント減
- 有効求人(季節調整値)は0.1%増
- 有効求職者(季節調整値)は0.1%減
※季節調整値とは:夏季や冬季といった季節による違いを考慮して調整した値のこと
前年同月との比較
前年同月との比較は下記のとおりです。
- 新規求人(原数値)は5.9%減
※原数値とは:調整や加工をしていないそのままの値のこと
正社員有効求人倍率は27カ月連続で1.0倍台をキープ
- 2020年9月 0.79倍(季節調整値前0.78倍)
- 2020年10月 0.78倍(季節調整値前0.79倍)
- 2020年11月 0.77倍(季節調整値前0.80倍)
- 2020年12月 0.77倍(季節調整値前0.81倍)
- 2021年1月 0.79倍
- 2021年2月 0.82倍
- 2021年3月 0.84倍
- 2021年4月 0.88倍
- 2021年5月 0.90倍
- 2021年6月 0.94倍
- 2021年7月 0.94倍
- 2021年8月 0.92倍
- 2021年9月 0.91倍
- 2021年10月 0.89倍
- 2021年11月 0.89倍
- 2021年12月 0.86倍
- 2022年1月 0.91倍
- 2022年2月 0.93倍
- 2022年3月 0.94倍
- 2022年4月 0.97倍
- 2022年5月 0.98倍
- 2022年6月 0.99倍
- 2022年7月 1.01倍
- 2022年8月 1.02倍
- 2022年9月 1.03倍
- 2022年10月 1.03倍
- 2022年11月 1.04倍
- 2022年12月 1.03倍
- 2023年1月 1.03倍
- 2023年2月 1.02倍
- 2023年3月 1.02倍
- 2023年4月 1.03倍
- 2023年5月 1.03倍
- 2023年6月 1.03倍
- 2023年7月 1.02倍
- 2023年8月 1.02倍
- 2023年9月 1.02倍
- 2023年10月 1.01倍
- 2023年11月 1.01倍
- 2023年12月 1.00倍
- 2024年1月 1.00倍
- 2024年2月 1.01倍
- 2024年3月 1.03倍
- 2024年4月 1.02倍
- 2024年5月 1.00倍
- 2024年6月 1.00倍
- 2024年7月 1.00倍
- 2024年8月 1.01倍
- 2024年9月 1.01倍
正社員有効求人倍率(季節調整値)は、2019年4月の1.16倍を最後に徐々に下降を続けていました。そこから新型コロナウイルスが経済に影響を及ぼしたことで追い討ちをかけて低迷を続けていましたが、2021年1月にようやく底を打ち、2021年2月には約6ヶ月ぶりに正社員有効求人倍率が0.8倍台に回復しました。
その後一度0.94倍まで回復されたものの、2021年10月からは再び0.9倍を切り、そこから再度徐々に下降を続けていました。しかしながら、2022年7月に27か月ぶりに1.0倍台に回復し、それから現在まで27カ月連続で1.0倍台をキープしています。
求人、求職及び求人倍率の推移
次は求人、求職及び求人倍率の推移をグラフにしたものです。
平成30年に有効求人倍率はピークに達し、その後下落したものの、現在は回復傾向であることが分かります。
※参照:令和6年10月29日 厚生労働省発表、一般職業紹介状況(令和6年9月)について
対前年同月比で新規求人は増加傾向に
前年同月と比べると、新規求人(原数値)は5.9%減となり、産業別にみると次のとおりとなりました。
上回った業界
- 情報通信業:8.9%増
下回った業界
- 生活関連サービス業、娯楽業:13.3%減
- 製造業:9.1%減
- サービス業(他に分類されないもの):8.8%減
都道府県別の状況
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)は次の通りとなりました。
就業地別
- 最高は福井県の1.93倍
- 最低は大阪府と福岡県の1.05倍
受理地別
- 最高は東京都の1.78倍
- 最低は神奈川県の0.90倍
- 福井県の有効求人倍率が高く、神奈川県が低いイメージがあるのは何故か?
- 毎月、福井県が高い印象がありますが、これには福井県が転職希望者数の少ない製造業が主要な産業であることや、そもそもの企業数が多いということが関係していると言われています。一方で、神奈川県が低い印象については、これは神奈川県が大都市の近隣都市となり、大都市と比べて企業が少ない割に人口が多いことが関係していると言われています。
- 受理地別と就業地別の求人倍率に差が生じる理由は?
- 有効求人倍率(受理地別値)は各都道府県内のハローワークが受理した求人数を集計して算出していますが、企業の中には本社が所在するハローワークに全国の各支社の求人を一括して提出している場合もあることから、求人を受理したハローワークの所在する都道府県と実際の就業地となる都道府県が異なる場合があるためです。
まとめ
本記事では、厚生労働省が発表した一般職業紹介状況についてお伝えしました。
新型コロナウイルス感染症は2024年11月現在もいまだに経済に影響を与え続けている状況ではあるものの、徐々に有効求人倍率は改善・上昇している傾向が見られました。
人材紹介会社は、雇い止めや退職を余儀無くされた人材を適切に企業に紹介するだけでなく、今後は働く場所に囚われずに転職をする人材と、募集する企業が増えていくことになるかと思います。この市場の変化をいち早くキャッチし、マッチングしていくことが、今後の人材紹介会社の価値提供の一つとなっていくことでしょう。
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