失業率の変化から予測する、人材紹介事業が必ず迎える大きな転換。そのプラスとマイナス

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2020年4月28日に総務省より完全失業率が発表されましたので、早速、人材紹介応援研究所で概要を紹介し、失業率が有料職業紹介事業に与える影響について考えます。

2020年3月の労働力調査ダイジェスト

2020年3月の労働力調査ダイジェスト

まずは2020年4月28日に発表された最新の労働力調査に関してまとめます。

結論を言えば、3月時点での失業率には、前回まとめた2020年3月の有効求人倍率ほどの数値的悪化は、「まだ」出ておらず、若干の悪化はあるものの現時点では誤差程度です。

(1) 就業者数,雇用者数

就業者数は6700万人。前年同月に比べ13万人の増加。87か月連続の増加
雇用者数は6009万人。前年同月に比べ61万人の増加。87か月連続の増加

(2) 完全失業者数

完全失業者数は176万人。前年同月に比べ2万人の増加。2か月連続の増加

(3) 完全失業率

完全失業率(季節調整値)は2.5%。前月に比べ0.1ポイント上昇

完全失業率の推移

就業者数、雇用者数増加の背景

就業者数、雇用者数増加の背景

前年同期比として就業者、雇用者数が増えている理由としては、主に20〜69歳の就業率が79%と前年同月と比較し、0.7ポイント上昇していること、そして定年退職の年齢が引き上げされたことによる労働力を増やす政策が相応に機能していることがあります。また、2020年年始から医療、福祉領域における就業者が前年同月で+40万人と安定的に増加していることも、全体の就業者を増やすことに大きく貢献していることがデータから読み取れます。

主な産業別就業者数

完全失業者数の推移に大きな変化はなし

完全失業者数の推移に大きな変化はなし

完全失業者数は176万人と前年同月に比べ2万人の増加となりますが、増加率は1.1%程度なので誤差の範囲です。今回のコロナショックによるリストラ等による離職が顕著に現れている数値は各種データから読み取ることが出来ませんでした。

完全失業者の動向

雇用への影響は4月以降

雇用への影響は4月以降

今回の労働力調査からはコロナショックの影響による失業は3月時点で見受けられませんでした。ただし、この失業率は4月実績から確実に悪化していくと予想しています。

すでにアメリカでは4月の末時点で3000万件以上の失業申請が届けられており、2020年4月の失業率も10%を超えると予測されています。日本では、アメリカの10%超えにはならないものの、仮にリーマンショック時と同等の失業率となれば、3月の2.5%から2倍以上の5%を超えるまで悪化する可能性はあると考えています。当然、アメリカと日本における解雇に関する難易度の差や、失業保険申請をすることのメリットなどもありますが、別の記事でまとめた有効求人倍率はすでに悪化しており、下記グラフのとおり有効求人倍率と完全失業率には相関関係がある以上、まずは求人がクローズし始め、その後失業率が上がっていくことは確実に起こりうる事象と考えられます。

有効求人倍率と完全失業率の推移

(参考データ: 厚生労働省「有効求人倍率と完全失業率の推移」 )

失業率上昇で人材紹介事業が迎える大転換。それにどう対応できるか?

失業率上昇で人材紹介事業が迎える大転換。それにどう対応できるか?

では、失業率が上がると有料職業紹介事業にはどのような影響がでるでしょうか?

最も大きな影響はは、「売り手市場から買い手市場に求職者トレンドが大きく転換する」ことです。この転換は、求職者の母数形成が必要なキャリアコンサルタントには非常に大きくプラスに働きます。今までスカウトしても返信をもらえなかったハイレベルな求職者から返信が届くようになり、今まで面談出来なかった層との接点を持つ難易度も低くなるので、キャンディデイト一人あたりを集客するコストが下がります。

仮に失業率が2倍の5%になった際には、新規で176万人の失業者が求職市場に集まり、将来が不安になる潜在転職希望者も含めるとその数は数百万人単位で市場に流れ込んでくるトレンドとなるため、求職者データベース事業者は登録コストを抑えながら月間登録者数を増やすことができるようになります。つまり、人材紹介業界にとっては、転職希望者のターゲット層を広げるには最高のタイミングとなります。

ただし、課題となるのが「失業率上昇に反比例して、有効求人倍率が下がり、紹介できる求人数が減少していく」ことです。

「売り手市場」から「買い手市場」に転換すると、自ら候補者を集客できる企業の求人は一部を除き一気にクローズし始めることとなります。同時に売り手市場の時代は、早く候補者を選ばないと採用出来なかったため、有料職業紹介事業者がスピーディに内定までリード出来ていた選考プロセスが、買い手となる企業側主導となり、どんどん鈍化していくと予想できます

つまり、有料職業紹介事業にとっては「求職者の集客はやりやすくなるが、求人開拓から進捗管理が難しくなっていく」フェーズとなります。

当社の求人データベース・求人プラットフォームであるクラウドエージェントでも、4月初旬から求人は急激に減り続け、その求人数を維持する体制構築まで2週間かかりましたが、かなりのコストと投資を行う必要があり、あらためて求人開拓の難易度が上がったことを実感しました。

今後こういった環境下において、どのように対応していけば良いか?

どのようにピンチをチャンスに変えていくべきか?

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片岡良彰

大手人材企業にて、人材紹介と求人広告の営業に従事、その後人材ベンチャー企業で新卒紹介・中途紹介の両面コンサルタントを経験。
得意業界は機械系・人材系。

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