派遣業の許可要件は?申請に必要な費用や書類について解説

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「人材派遣事業を始めたいけれど、その許可要件について知らない」「人材派遣業の許可に必要なものがわからない」と困っていませんか。

人材派遣業は自由に始められるものではなく、厚生労働大臣による許可が必要なビジネスです。

このページでは、派遣業を行うための7つの許可要件や許可を取るために必要な書類・申請料を取り上げます。資金不足で資本金要件を満たせない場合の対策や、派遣業の許可要件に関する注意点も詳しく解説します。

派遣業を行うために必要な7つの許可要件

派遣業を行うために必要な7つの許可要件

派遣業を始めるためには、次の7つの許可要件があります。

  • 資本金に関する要件
  • 事業所に関する要件
  • 派遣元責任者に関する要件
  • 派遣元事業者に関する要件
  • 個人情報に関する要件
  • キャリア形成支援制度に関する要件
  • 専ら派遣が目的でないこと

ここでは、各要件の詳細を解説します。

資本金に関する要件

派遣業を行うためには、必要な資本金が定められています。財産的基礎の要件は次の通りです。

  • 2,000万円以上の純資産
  • 純資産が負債の7分の1以上
  • 1,500万円以上の現預金

事業所の数がひとつ増えるごとに、純資産は2,000万円、現預金は1,500万円プラスすることになります。少なくとも2,000万円以上の純資産と1,500万円以上の現預金がなければ、派遣事業は開始できません。

事業所に関する要件

派遣事業を行う事業所の立地や広さにも制限があります。事業所に関する要件は次の通りです。

  • 事業運営にとって好ましくない所にないこと
  • おおむね20平方メートル以上の面積

風俗街などがある場所や狭い事務所は、派遣事業を行う所としてふさわしくないと判断されます。20平方メートルの目安は縦5m×横4mの広さで、12畳程度です。

派遣元責任者に関する要件

派遣労働者への教育サポートや派遣先とのコミュニケーションを管理する、派遣元責任者の要件もあります。

  • 未成年者でないこと
  • 生活根拠が安定していること
  • 良好な健康状態であること
  • 3年以上の雇用管理経験があること
  • 派遣元責任者講習を受講していること

派遣事業を行う場合、派遣労働者100名ごとに1名派遣元責任者を選任しなければなりません。また、派遣元責任者講習では、次のような内容を受講します。

  • 労働者派遣法
  • 労働基準法などの適用について
  • 職務遂行上の役割・留意点
  • 個人情報取扱いと公正な採用選考

派遣元責任者講習は、全国各地で開催され、1日で受講証をもらえます。

派遣元事業者に関する要件

派遣元事業者に関する要件は次の通りです。

  • 労働保険や社会保険の適用など、派遣社員に対してしっかりと雇用管理を行うこと
  • モラル上問題のある業務をやらせないこと

派遣事業を行う者として問題ないかをチェックされます。

個人情報に関する要件

派遣事業を始める要件の中には、派遣社員の個人情報を適切に管理できているかを判断する基準も設けられています。

  • 最新の情報に保たれていること
  • 改ざんや不正アクセスへの対策があること
  • 個人情報が不要になったときは破棄・削除すること

個人情報の流出が問題視されているからこそ、適正な管理が必要です。

キャリア形成支援制度に関する要件

派遣社員へのキャリア形成支援制度に関する要件は次の通りです。

  • 教育訓練関連の計画を策定すること
  • 施設や設備、能力開発体制の整備
  • 教育訓練について費用を徴収しないこと
  • 担当者を相談窓口に配置すること
  • 相談窓口を派遣労働者が利用できること
  • 派遣労働者はキャリアコンサルティングを受けられること

派遣社員に対して教育などのサポートをすることも派遣事業には欠かせません。

専ら派遣が目的でないこと

「専ら派遣」が目的でないことも要件に含まれています。「専ら派遣」とは、特定の人に対して労働者派遣を行うことです。例えば、ある企業が出資した子会社が派遣事業を行う際、親会社に対してのみ派遣を行い、他の企業には派遣を行わない場合、許可要件をクリアできないことになります。

特定のひとつの会社に対してだけ労働者派遣をすることを目的としている場合、人材派派遣業の許可を受けることは困難です。「専ら派遣」は、労働派遣法により禁止されているため、気をつけましょう。

派遣業の許可を取るために必要なもの

派遣業の許可を取るために必要なもの

派遣業の許可申請にかかる手数料と必要書類を紹介します。

申請にかかる手数料

派遣業の許可を取るために必要な費用は、登録免許税と収入印紙代です。それぞれの費用は次の通りです。

  • 登録免許税:90,000円
  • 収入印紙代:120,000円+55,000円

事業所がひとつ増えるごとに、55,000円追加します。申請にかかる手数料は、低くても300,000円近く必要だと認識しておきましょう。

申請に必要な書類

派遣事業許可申請の際に必要な書類は、次の3つです。

  • 労働者派遣事業許可申請書(様式第1号)
  • 労働者派遣事業計画書(様式第3号)
  • キャリア形成支援制度に関する計画書

労働者派遣事業計画書とキャリア形成支援制度に関する計画書に関しては、申請事業所ごとに必要です。法人の場合は上記の書類と一緒に、次の要件を満たすために必要な書類を添付します。

要件 添付書類(例)
資本金に関する要件
  • 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動 計算書
  • 納税証明書
事業所に関する要件
  • 賃貸借契約書
  • 事務所レイアウト
派遣元責任者に関する要件
  • 派遣元責任者の住民票
  • 派遣元責任者の履歴書
  • 派遣元責任者受講証明書
派遣元事業者に関する要件
  • 定款又は寄附行為
  • 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 役員の住民票
  • 役員の履歴書
個人情報に関する要件
  • 個人情報適正管理規程
キャリア形成支援制度に関する要件
  • 派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供の為の事務手引
  • マニュアル等又はその概要の該当箇所の写し

派遣元責任者や派遣事業所を確認するための書類、個人情報適正管理規定は、申請事業所ごとに用意する必要があります。準備に時間がかかる書類もあるため、派遣事業立ち上げの際は早め早めに準備しておきましょう。

資金不足で資本金要件を満たせない場合の対策

資金不足で資本金要件を満たせない場合の対策

要件の中でネックになりがちなのは「2,000万円以上の純資産」という資本金要件です。ここでは、資金不足で資本金要件を満たせない場合の対策を見ていきましょう。

資産が不足しているなら借り入れを行う

資金不足で資本金要件を満たせない場合、金融機関や役員からの借り入れを検討してみましょう。ただし、実際に資金を受けるまで時間がかかるため、利用する場合は早めに動くようにしましょう。

増資で資産を増やす

資本金要件を満たせない問題は、増資で資産を増やす方法によって解決することもできます。具体的には、株式を発行することで増資するという方法です。しかしこの場合、資本金が増えることにより法人住民税が高くなるというリスクを考えなければなりません。

ほかに、純資産も現預金も増やしたい場合は、保険の解約がおすすめです。保険を解約すれば、積立金と解約返戻金の差額分が法人の利益になります。また、解約しなくても保険会社から解約返戻金を担保とした借り入れを行える可能性もあります。

派遣業の許可要件に関する注意点

派遣業の許可要件に関する注意点

派遣業の許可要件には、いくつか注意しなければならないことがあります。それは、許可の有効期限と欠落事由です。それぞれの内容を詳しく解説します。

許可には有効期限がある

派遣事業を行う場合、厚生労働大臣に対して申請書を提出し、許可を受ける必要があります。その許可の有効期間は次のように定められています。

  • 新規許可の有効期間は3年
  • 更新後の有効期間は5年

また、更新申請は許可有効期間満了日の3ヶ月前までに行うというルールがあります。

欠格事由がある

派遣事業の許可を取得するためには、以下のような欠格事由(派遣事業を行う資格を欠く事柄)に該当していないことが必要です。

  • 労働に関する法律や刑法などに違反し、罰金刑に処せられ、その執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していないこと
  • 破産し復権していないこと
  • 派遣事業の許可・届出を取り消され、あるいは廃止を命じられて、当該取消または命令の日から5年経過していないこと

欠落事由がある場合は許可が下りないため、該当する可能性がある場合は、人材派遣業の許可申請前に確認しましょう。

許可要件のハードルが低い人材紹介業もおすすめ

許可要件のハードルが低い人材紹介業もおすすめ

派遣事業と同じ人材ビジネスの中で、人材紹介業というスタイルがあります。人材紹介業の許可要件は、次の通りです。

人材紹介業の許可要件 詳細
職業紹介責任者がいること
  • 3年以上の就業経験のある成人が職業紹介責任者講習を受講している
  • 職業紹介責任者講習においては、理解度確認試験があり、合格者のみに証明書が発行される
完全に区分けされた個室が必要
  • 事務所専用の固定回線があるかどうか確認される
  • 鍵のかかる金庫やロッカーが設置されているかチェックされる
  • 高さ約180cmのパーテーションで区分けされた面談スペースがあるか確認される
財産要件が条件を満たしていること
  • 500万円以上の基準資産額
  • 現金・預金の額が150万円以上

たとえば、資本金要件は500万円以上と人材派遣業の4分の1でです。このように、人材紹介業は派遣事業よりも起業のハードルが低いため、「資金面に自信がない」「広々としたオフィスをレンタルできそうにない」場合でも設立しやすいといえます。

人材紹介業を始める際は、人材紹介会社向けサービスであるクラウドエージェントの利用をおすすめします。クラウドエージェントは8,000件以上の求人を取り扱っているだけでなく、未経験から経験豊富な候補者まで幅広く対応しているため、人材紹介ビジネスを始めるときの心強い味方になるでしょう。

また、人材紹介ビジネスをサポートしてくれる候補者管理機能や進捗管理機能、自社求人管理機能といった便利な機能もあり、余計な作業に手間や時間を取られることもありません。さらに、専任コンサルタントによる支援や無料セミナーも充実しているため、人材紹介業を成功に導く可能性もアップするでしょう。

要件をクリアして派遣業の許可を取得しよう

要件をクリアして派遣業の許可を取得しよう

派遣事業を行うために必要な許可要件は、資本金や事業所だけでなく、派遣元責任者や派遣元事業者、個人情報、キャリア形成支援制度などさまざまな要件があります。また、派遣事業の許可を取るためには申請手数料が必要であり、申請には複数の書類を用意しなくてはなりません。

資金不足で資本金要件を満たせない場合は、金融機関や役員からの借り入れを検討するか、増資で資産を増やすことを意識しましょう。こうした派遣業の許可要件に関する注意点は、許可に有効期限があることと、欠格事由があることです。

派遣事業と同じ人材ビジネスの人材紹介業は、派遣事業よりも資本金が少なくて済み、起業のハードルも低いため、一度検討してみるのもよいでしょう。

人材紹介業を始める際は、人材紹介会社向けサービス「クラウドエージェント」の利用をおすすめします。クラウドエージェントは、すぐに8,000件以上の求人を使用することができ、専任コンサルタントによる支援もあるため、事業を成功できる可能性が高まります。

 

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辻本哲宏

大学卒業後、ファッション系ECサイト運営会社にてCS、バイヤー職を経験。
その後、総合人材サービス会社に転職後、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーに従事し、20〜40代の営業系職種をメインに、年間約400名の転職相談、約30社の企業採用支援を担当。

その後、海外現地在住の高度外国人材採用支援サービスの大阪立ち上げに参画し、企業の高度外国人(主にエンジニア)採用支援にも従事。

groovesでは人材紹介事業での独立開業コンサルティング業務を経験し、現在は人材紹介会社様へのCrowd Agent導入をご支援。
得意領域は20〜40代の営業系職種。

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