【2023年完全版】人材紹介の免許取得がすべて分かる!許認可申請マニュアル!

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人材紹介事業の免許取得の際に、必要なすべての情報を本記事にまとめました。ぜひご確認ください。

人材紹介(有料職業紹介)事業は免許が必要!

人材紹介事業は、ここ数年右肩上がりで拡大をしている市場の一つとなっています。令和2年度の職業紹介事業の手数料収入は、約5,240億円となっており、成長を続けています。。有料職業紹介事業所数は、令和2年時点で26,208事業所となり、人材紹介の免許を取得する事業所は増え続けています。
令和4年3月31日 職業紹介事業報告書より

人材紹介(有料職業紹介)事業とは、求職者を求人企業に紹介し、内定承諾に繋がると、企業から成功報酬として手数料を支払われるのが主なビジネスモデルであり、国の許認可事業です。そのため、国から許認可を得て免許を取得しなければ、有料職業紹介をおこなうことはできません。許認可を申請する際には、いくつもの要件があり、提出する書類も非常に複雑なことから、一度の申請で免許を取得することは難しいです。
同じ免許がいる人材ビジネスとして、人材派遣事業と混在されがちですが、人材派遣よりも初期投資も少なく、免許申請のハードルも低いことから、新規参入が増加し続けています。最近では人材派遣会社が、新規事業として人材紹介の免許を取得することも増えています。
参入障壁の低さから注目されている人材紹介。今回は免許申請時につまずくポイントを中心に、できる限り労働局に数度足を運ぶ必要がないよう、詳しく解説いたします。

人材紹介事業の免許取得は意外と時間がかかる

すぐに取得できると思われがちな人材紹介事業の免許ですが、意外と簡単ではありません。いくつかの基準を満たす必要があるため、免許を取得するにはある程度の期間や資金が必要となります。人材紹介が国の許認可事業に指定されている理由は、中抜きなどの不当行為を防ぎ、人材紹介事業者や企業、求職者を保護するためです。人材紹介の許可を厚生労働大臣から取得せずに業務を行うと違法行為となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

免許取得ができないよくあるパターンとは

人材紹介事業の免許取得にはいくつかの要件があるため細かく確認が必要です。下記に免許取得ができないよくある事例をのせたので、同じようなミスをしないように注意しましょう。

資本金は現金で500万円あればいいというわけではない

有料職業紹介の免許を取得するには資産(財産)の基準を満たさなければなりません。資産基準とは、資産の総額から負債を控除した額が500万円以上なければなりません。基準資産はあくまで、直近の決算書の貸借対照表に記載の数字で判断されます。銀行口座やお手元にいくら現金を持っていても意味がないので注意しましょう。

これでは人材紹介の免許は取得できない!?資本金の条件とよくある勘違いとは?

個室がないオフィスで申請しようとしている

オフィスの要件の一つとして、面談スペースと執務スペースがそれぞれ個人情報が守れる構造になっている必要があります。面談スペースについては、個室もしくは区切られた空間であれば、共用の会議室を面談スペースとして利用することが可能ですが、完全なオープンスペースは、面談スペースとして申請できないので注意しましょう。執務スペースについては、個室ブースの契約は必須です。フリーデスクを契約しても、有料職業紹介の許可はおりません。1名用の個室でも構わないので、面談スペースとは別に執務スペースの契約が必要です。

賃貸契約が事業用ではない

自宅を事務所として利用しようとする場合によくあるパターンですが、賃貸物件の場合、居住用契約の場合は事務所として申請することができません。申請のためには事業用契約である必要があるため、事前に確認しておきましょう。

玄関から事務所エリアまでの導線にプライべートスペースを通る必要がある

こちらも自宅を事務所として利用しようとする際に注意する点ですが、玄関に入り事務所エリアまで行く途中に、リビングダイニングなど家族などが生活するプライベートスペースを通らないといけないレイアウトは許可がおりません。

人材紹介の免許を取得する際の許可基準(要件)について

人材紹介事業の免許取得にはいくつかの要件があるため細かく確認する必要がありますが、実は国の許認可事業の中では免許の取りやすさのハードルは低いほうだと言われています。要件を確認し準備をしっかりとすれば免許取得を目指しやすい事業といえるでしょう。
それではここからは、免許を取得するために必要となる許可要件を具体的におさえていきましょう。人材紹介事業(有料職業紹介)の許可基準は大きくわけて3つのポイントがあります。

  1. 「お金」に関する基準(基準資産)
  2. 「事務所」に関する基準(事業所・オフィス・自宅)
  3. 「人」に関する基準(職業紹介責任者)

この3点が人材紹介の免許申請時につまずくポイントとなっています。この3点をクリアにしないと、許認可がなかなか取得できないことが多いです。逆にこの3点さえクリアにできれば、人材紹介の免許は比較的スムーズに申請が通ります。それでは、厚生労働省が出している有料職業紹介の許可基準から紐解いて解説します。

①「お金」に関する基準(基準資産)

有料職業紹介は、求職者の人生を預かる重要な職種です。事業を的確、安定的に遂行する値する財産を持っているのかどうかが、1つ目の判断要素となります。下記2点の基準資産を満たさない限り、免許取得はできません。

  • 基準資産が500万円以上あること
    資産額-負債額 ≧ 500万円 × 事業所数
  • 自己名義の現金預金額が150万円以上あること
    現金預金額   ≧ 150万円 × 事業所数

ここで大事なポイントは、現金が500万円あればいいというわけではないことです。負債(借入・ローン等)があれば、基準資産500万円に満たしません。また、基準資産を満たすために500万円の借入を行うと、負債額が膨らむだけなので基準資産は満たすことにはなりません。特に個人で人材紹介の免許を取得する方は、住宅ローンや車のローンなども負債に含まれるので基準資産をクリアできるハードルはさらに高くなります。

資産要件をクリアすることが、人材紹介免許取得の最初の壁となります。期中で締めて公認会計士に監査証明をしてもらったり、増資をおこなったり、事前に計画して要件を満たす必要があります。

人材紹介の免許取得〜資産要件を満たす資金を集める方法とは

②「事務所」に関する基準(事業所・オフィス・自宅)

次に事務所の要件も、有料職業紹介の免許を取得する際に重要な指標の1つとなります。賃貸契約をしたり、自宅の一部をオフィスに改築した後に、「この事務所では許可がおりない!」とならないように、事前にしっかりと確認しましょう。事務所の基準で、特に重要になるのはこの3点です。

  1. 事務所専用の固定回線があるかどうか
  2. 鍵のかかる金庫やロッカーが設置されているか
  3. 高さ約180cmのパーテーションで区分けされた面談スペースがあるか

ハードルの1つとなっていた「広さ20㎡」の縛りが、2017年に法改正で撤廃されました。この広さの要件の緩和も、人材紹介の新規参入増の後押しになっています。

レンタルオフィスでも免許の申請ができるようになりましたが、面談スペースには注意が必要です。デザイン重視のオフィスが多いので、ガラス張りの共有会議室などは少なくありません。しかし、「区分けされた面談スペース」としては認められなくなります。

また、あわせて個室ブースの契約も必須なので、申請前にフリーデスクのみを契約してしまうことのないように注意してください。

人材紹介免許取得に必要な事業所の要件①〜レンタルオフィス/シェアオフィスで免許が取れる!?

オフィスを持たずに、ご自宅を事務所と兼用する予定の方もいらっしゃると思いますが、その場合も事務所にするご自宅のレイアウトには注意が必要です。玄関から事務所までの導線で、プライベートエリアを通って面談スペースにつながっているレイアウトでは許認可はおりません。自宅兼事務所として改築してから、レイアウトの問題に気づくことがないよう、申請前にレイアウトは問題ないか確認をしてください。
また、賃貸の場合は居住用契約と事業用契約があります。事業用契約の場合は事務所として申請ができますが、居住用契約の場合は申請ができないため、こちらも確認をしておきましょう。

人材紹介免許取得に必要な事業所の要件②〜自宅を事務所として申請するには!?

➂「人」に関する基準(職業紹介責任者)

重要なポイントの3つ目である、職業紹介責任者についてご説明します。人材紹介は、1事業所(50名)あたりに1名、職業紹介責任者を選任する義務があります。

職業紹介責任者は以下の要件にあてはまる必要があります。

  • 成人していること
  • 3年以上の就業経験を要すこと
  • 他の会社の社員ではないこと(出向・非常勤除く)
  • 職業紹介責任者講習の受講が済み、受講証明書が発行されていること

職業紹介責任者は常駐常勤が原則のため、兼業でなることはできません。
兼業で人材紹介を始めようとお考えの方は、別の方を職業紹介責任者としてたてる必要があります。また、職業紹介責任者講習には、新たに理解度確認試験も導入されたので、講習受講後試験に合格して初めて受講証明書が発行されます。

人材紹介の職業紹介責任者の要件とは!?兼業でなれる?

人材紹介免許申請時に必要な費用について

有料職業紹介の免許は、労働局に書類を申請する際に手数料が必要になります。

  • 登録免許税 90,000円
  • 収入印紙  50,000円
  • ーーーーーーーーーーーーー
  • 合計   約140,000円

上記は、1事業所にかかる費用となり、同時に複数事業所を申請する場合は、1事業所につき追加で18,000円の収入印紙が必要となります。

また、こちらはあくまで申請にかかる費用のみが14万円〜です。その他にも、職業紹介責任者講習受講費や、法人を新設する場合の設立費、オフィスの賃貸契約や業務ツールの契約費など、必要に応じ諸費用が発生します。

解説!人材紹介の立ち上げにかかる費用について

人材紹介免許申請時に必要な書類について

次に、免許申請時に必要な書類についてご説明します。法人での免許申請と、個人での免許申請では、必要書類が異なりますので以下をご確認ください。

  • (1) 有料職業紹介事業許可申請書 3部(正本1部、写し2部)
  • (2) 有料職業紹介事業計画書 3部(正本1部、写し2部)
  • (3) 届出制手数料届出書部 3(正本1部、写し2部)
    ※ (3)については、上限制手数料による場合には提出は不要です。
  • (4) 添付書類2部(正本1部、写し1部)
必 要 と さ れ る 添 付 書 類 法人の
場合
個人の
場合
① 法人に関する書類
 ・定款又は寄附行為
 ・法人の登記事項証明書
② 代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類
 ・住民票の写し(番号法第2条の規定に基づく個人番号の記載
  のないものであり、本籍地の記載のあるものに限る。)
 ・履歴書
 ・代表者役員の法定代理人の住民票の写し及び履歴書(代表者
  役員が未成年者で職業紹介事業に関し営業の許可を受けてい
  ない場合。なお、営業の許可を受けている場合は、その法定
  代理人の許可を受けたことを証する書面(未成年者に係る登
  記事項証明書)。)
 ・職業紹介責任者講習会受講証明書(以下「受講証明書」とい
  う。)の写し(職業紹介責任者に限る。)
③ 資産及び資金に関する書類
 ・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
 ・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類
  (貸借対照表から計算される基準資産が納税証明書及び確定
  申告書により証明される場合は、残高証明書等は不要)
 ・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書(貸借
  対照表から計算される事業資金が納税証明書及び確定申告書
  により証明される場合は、残高証明書等は不要)
 ・最近の事業年度における確定申告書の写し(法人にあっては
  法人税の確定申告書別表1及び4、個人にあっては所得税の
  確定申告書第一表)
 ・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書
  ((その2)による所得金額に関するもの)
 ・最近の事業年度における株主資本等変動計算書
④ 個人情報の適正管理に関する書類
 ・個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程(以下「個
  人情報適正管理規程」という。)
⑤ 業務の運営に関する書類
 ・業務の運営に関する規程
⑥ 事業所施設に関する書類
 ・建物の登記事項証明書(申請者が所有している場合)
 ・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合)
⑦ 手数料に関する書類
 ・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)
⑧ 相手先国に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合)
 ※相手先国において職業紹介が認められている根拠となる規定
 に係る部分のみ。
 ・相手先国の関係法令及びその日本語訳
 ・相手先国において、国外にわたる職業紹介について事業者の
  活動が認められていることを証明する書類及び当該書類が外
  国語で記載されている場合にあっては、その日本語訳(取次
  機関を利用しない場合に限る。)
⑨ 取次機関に関する書類(国外にわたる職業紹介を行う場合で
 あって、取次機関を利用する場合に限る。)
 ・取次機関及び事業者の業務分担について記載した契約書その
  他事業の運営に関する書類及びその日本語訳 ※業務分担が
  わかる部分のみ。
 ・相手先国において、当該取次機関の活動が認められているこ
  とを証明する書類(相手先国で許可を受けている場合にあっ
  ては、その許可証の写し)及びその日本語訳
 ※相手先国において当該取次機関の活動が認められているこ
 とを証明する部分のみ。

出典:厚生労働省 職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル―

有料職業紹介事業許可申請の流れ

最後に、人材紹介の免許申請から事業が開始できるまでの流れをご説明します。

  1.  職業紹介責任者講習会の受講
  2.  必要書類の作成
  3.  免許の申請
  4.  審査
  5.  現地調査
  6.  免許証交付
  7.  人材紹介スタート

手続きには審査があり、約2〜3ヶ月程度かかります。

免許の取得日は毎月1日。最短で許可がおりるのは書類申請後の翌々月末となります。申請から許可がおりるには丸2ヶ月時間を要します。事業開始予定日から遡ってスケジュールをたて、余裕をもって必要書類の準備をしましょう。

許可がおりなければ、再申請となり、さらに許認可取得まで、2ヶ月かかります。一度で要件を満たせるように、事前準備の徹底をしましょう。

まとめ

今回は、人材紹介の免許取得についてまとめました。要件や注意点が多く、読むだけで気が遠くなってしまった方もいるかもしれません(笑)そんな方向けに、3分で分かる人材紹介の免許取得マニュアルをご用意いたしました。無料でダウンロード可能なため、ぜひチェックしてみてください。

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辻本哲宏

大学卒業後、ファッション系ECサイト運営会社にてCS、バイヤー職を経験。
その後、総合人材サービス会社に転職後、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーに従事し、20〜40代の営業系職種をメインに、年間約400名の転職相談、約30社の企業採用支援を担当。

その後、海外現地在住の高度外国人材採用支援サービスの大阪立ち上げに参画し、企業の高度外国人(主にエンジニア)採用支援にも従事。

groovesでは人材紹介事業での独立開業コンサルティング業務を経験し、現在は人材紹介会社様へのCrowd Agent導入をご支援。
得意領域は20〜40代の営業系職種。

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