職業紹介責任者講習とは?
講習の概要と対象者
誰が受ける必要があるのか
職業紹介責任者講習は、人材紹介事業(有料職業紹介)を始めるときに必要な手続きのひとつです。
この講習を受けていないと、職業紹介の許可が取れず、事業をスタートすることができません。
受講の対象となるのは、次のような方です。
- これから人材紹介の事業を始めようとしている方
- すでに人材紹介を行っている会社などで、新しく責任者として選ばれる予定の方
- 以前に講習を受けて責任者になった方で、前回の受講から5年が近づいている方(更新)
また、責任者は「事業所ごとに1人」必要とされています。
たとえば、東京と大阪にそれぞれ拠点がある場合、それぞれの拠点に1人ずつ責任者を置く必要があります。
同じ人が2つの拠点を兼ねることはできませんので、会社の規模にあわせて複数人が必要になることもあります。
いつ・どこで受講できるのか
職業紹介責任者講習は、厚生労働省が認めた複数の実施機関が全国で実施しているため、受けたいタイミングで受けやすい講習です。
最近は、会場での対面講習だけでなく、オンラインでの開催も増えており、毎週のように実施している機関もあります。
そのため、仕事が忙しい方や遠方にお住まいの方でも、自宅から無理なく受講できます。
開催日や申し込み方法は実施する機関によって異なるため、以下の厚生労働省のページで最新情報を確認し、直近の開催状況を確認しておきましょう。
参考:職業紹介責任者講習の実施機関等について
講習の内容と構成
講義の流れ
講習は、午前9時頃から午後5時頃まで行われます。
実施する団体によって、細かな内容や解説の仕方には少しずつ違いがありますが、どの実施機関でも、講義の基本的な流れや学ぶテーマはおおむね共通しています。
ここでは、1日の講義がどんな順番で進んでいくのかをご紹介します。
- 人材紹介のしくみと制度の概要:
「職業紹介ってそもそも何?」というところからスタートします。有料職業紹介制度の成り立ちや、国がどんなルールを設けているのかについて学びます。 - 守るべき法律について(職業安定法など):
働く人や企業を守るための法律にはどんなものがあるか、職業紹介事業者としてどんなことに気をつけなければならないかを学びます。 - 実務の進め方と責任者の役割:
求人企業との契約、求職者との面談、紹介の流れなど、日々の業務に関する具体的なルールや注意点が紹介されます。職業紹介責任者が果たすべき役割についてもここで詳しく説明されます。 - 個人情報の取り扱いやハラスメント防止について:
個人情報保護法や、採用時に注意すべき差別的な取り扱いなど、人材紹介の現場で起こりがちなリスクと対策について学びます。 - 理解度確認試験:
最後に、講義の内容を理解できたかを確認する試験があります。
理解度確認試験について
理解度確認試験について不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大切なポイントを理解できているかを確認するテストです。
しっかり講義を受ければ、十分に満点を目指せる内容ですので、安心して臨んでください。
職業紹介責任者講習の合格率はどれくらい?
理解度確認試験の概要と注意点
試験時間・出題形式・合格基準
- 出題形式:○×(マルバツ)方式
- 問題数:10問前後
- 試験時間:10分程度
- 合格基準:非公表(「国際キャリア支援機構(AICAS)」では、10問中6問以上の正解で合格とされている)
講義への集中が重要な理由
試験自体は簡単な内容ですが、試験に合格しないと修了証(受講証明書)がもらえません。
つまり、職業紹介の免許申請に進めなくなってしまいます。
形式的な試験とはいえ、聞き逃しや集中力の低下で失点する可能性もあるため、最後まで集中して受講することが大切です。
理解度確認試験の合格率の実態と傾向
職業紹介責任者講習の最後に理解度確認試験がありますが、実はほとんどの方が合格できる内容となっています。
合格率自体は公式に発表されていませんが、講習機関や受講者の声を参考にすると、実質的にはほぼ全員が合格していると考えて差し支えありません。
ほぼ全員が合格するとされる理由
理解度確認試験は、「落とすための試験」ではなく、「内容を正しく理解できたかを確認するためのテスト」です。
受講者の多くが社会人であり、しっかり講義を聞いていれば解ける基本的な○×問題が出題されます。そのため、ほぼ全員が合格するという結果につながっています。
理解度確認試験の難易度はどの程度か
先ほども説明したとおり、出題形式は○×方式、問題数は10問程度、試験時間は10分と非常にシンプルです。
たとえば「国際キャリア支援機構(AICAS)」では、10問中6問正解で合格という明確な基準を設けています。
内容は、講義で解説されたポイントから出題されるため、特別な予習は不要で、講義をしっかり受けていれば十分に対応可能です。
合格証が免許取得に必須な理由
合格証の交付条件
試験に合格した方には、講習機関から「職業紹介責任者講習修了証(受講証明書)」が発行されます。
この証明書は、人材紹介業の許可申請時に必ず提出しなければならない書類のひとつです。
不合格になるとどうなる?
理解度確認試験に不合格となった場合は、講習を再受講する必要があります。
再受講には再び日程を調整したり、受講料を支払ったりする負担もあるため、講義中は集中して内容を理解し、しっかり試験に備えることが重要です。
それでも落ちる人はいるの?
理解度確認試験を不合格になるケース
寝落ち・離席などの態度要因
受講中に明らかに眠っていたり、長時間の離席をしていた場合、講義をきちんと受けていないと判断されることがあります。そうなると、試験の結果に関係なく不合格となる可能性もあります。
実施機関によっては、受講中の態度も評価の対象とされるため、態度や集中力も重要なポイントです。
形式的なミスや集中力不足
試験が簡単だと油断して、問題を読み間違えたり、勘違いで答えてしまうケースもあります。
また、後半で集中力が切れてしまい、講義の大事なポイントを聞き逃してしまうと、試験で思わぬ失点につながることも。
「簡単だから大丈夫」と思わず、最後までしっかり聞くことが合格への近道です。
落ちた場合の対応と再受講
再受講が必要になる流れ
理解度確認試験に不合格となった場合、受講証明書は発行されず、職業紹介の免許申請に進めません。
この場合、後日あらためて講習を最初から受けなおす必要があります。再受講には再び受講料がかかるため、なるべく一度で合格するのが望ましいです。
実施機関への確認ポイント
再受講の方法や申込方法、空き状況は、各講習機関によって異なります。
不合格となった場合は、なるべく早めに講習機関に連絡し、次回の受講日程や再受講の手続きについて確認しておきましょう。
理解度確認試験に合格するために意識すべきこと
試験対策と心構え
事前学習は必要?
基本的に講義をしっかり聞いていれば問題なく合格できるため、特別な事前学習は必要ありません。
ただし、講習前に「職業安定法」や「職業紹介事業の概要」などの基礎的な知識をざっくりと押さえておくと、講義内容がより理解しやすくなります。
特に不安な方は、過去の講義内容や厚生労働省のガイドラインに目を通しておくと安心です。
当日の準備で差がつくポイント
試験は短時間・基本的な内容とはいえ、集中して講義を受ける準備を整えておくことが大切です。
前日はしっかり睡眠を取り、当日は時間に余裕を持って会場(またはオンライン)に入るようにしましょう。
また、メモ用のノートや筆記用具を用意し、大事なポイントは書き留める姿勢が合格への近道になります。
講習当日の注意点
集中力を保つための工夫
午前から午後にかけての1日がかりの講習になるため、長時間の講義に集中できる環境を整えておきましょう。
オンライン講習の場合は、周囲の雑音やスマホ通知などを遮断できる環境を整えておくと安心です。
また、重要な内容が出てきたときにはしっかりメモを取り、あとで見直せるようにしておくと試験直前の確認にも役立ちます。
当日の持ち物と服装のアドバイス
会場受講の場合は、筆記用具・メモ帳・本人確認書類・受講票(申込後に送付される)などを忘れず持参しましょう。
服装はスーツである必要はありませんが、オフィスカジュアルなどの清潔感のある服装が好ましいです。オンラインの場合も、カメラをオンにするケースがあるため、上半身はきちんとした服装にしておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
合格率は年度によって変わりますか?
理解度確認試験は本当に簡単?勉強しないとまずい?
難易度も高くないため、特別な勉強は必要ありませんが、不安な方は事前に概要をチェックしておくと安心です。
合格証はいつ・どう届く?
不合格になったらどうすればいい?
まとめ
職業紹介責任者講習とは
本記事では、職業紹介責任者講習についてまとめました。
- 人材紹介事業(有料職業紹介)を行うには、責任者の選任が必要
- 責任者になるには、職業紹介責任者講習を受講し、理解度確認試験に合格することが必須
- 講習は対面・オンラインで頻繁に開催されており、受講しやすい環境が整っている
- 理解度確認試験の難易度は高くないため、講義を集中して受ければ合格できる可能性は高い
人材紹介事業(有料職業紹介)のサポートについて
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人材紹介事業(有料職業紹介)の許可申請に必要な書類の作成代行、書き方のアドバイスなど、初めての方でもスムーズに進められるよう支援を行っています。
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