この20年、人材紹介市場はどう成長してきたか?最新データから読み解く過去と未来

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新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な蔓延により、人材紹介市場においても先行き不透明になっています。こうした実情を踏まえて、人材紹介事業者に向けて少しでも価値ある情報を提供すべく、当社の経営企画グループを母体としたリサーチチーム「人材紹介応援研究所」を立ち上げました。

人材紹介応援研究所について

人材紹介応援研究所について

当社の経営企画グループは、人材ビジネス大手、大手外資系コンサルティングファーム、外資系メーカー、大手証券会社、外資系M&Aファームなど、様々なバックグラウンドを持つ社員により構成されています。経営企画グループでは、お客様に価値を提供すべく、日々様々な業界動向分析を行いながら、提携先であるベンチャーキャピタルや地域金融機関と新しい企画を生み出しています。人材紹介応援研究所による特別企画として、これらの社内データを可能な限り公開することで、将来の予測が難しい局面でも、人材紹介市場がしっかりと価値ある市場として成長するような未来につながるきっかけを作れればと考えています。

人材紹介研究所による記事の第一弾として、「有料職業紹介市場規模」と「有料紹介事業所数」の推移をもとに、「人材紹介市場の20年の歴史」をダイジェストで振り返っていきます。この20年は、2000年のネットバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2011年東日本大震災等、過去に我々が経験してきたさまざまな経済に大きなインパクトを与えたインシデントがありました。過去を知ることは、今後提供していく情報の前提となるものですので、ぜひ参考にしてください。

2019年の有料職業紹介市場は過去最高5,418億円まで成長

2019年の有料職業紹介市場は過去最高5,418億円まで成長

2019年3月末に、厚生労働省より「平成30年度職業紹介事業報告書の集計結果」の速報が発表されました。

その中で、厚生労働省に届けられた有料職業紹介事業としての成功報酬手数料の総和としての市場規模は、9年連続で前年を超えて成長し、特にこの1年では前年比+122%の市場拡大を実現し、結果総手数料収入は5,418億円となったとあります。ちょうど10年で3倍の市場成長となったことがわかります。

平成30年度職業紹介事業報告書の集計結果

この前年比+122%という成長率は、直近10年において、2014年の+138%以来の成長です。2014年は、2012年末の第二次安倍政権発足後、リーマンショック、東日本震災の影響による落ち込みから大きく経済が復活した年でした。過去5年間の前年比成長がおよそ+110%だったことと比較すると、2014年に次ぐ2019年の成長率は異常値ともに言えるほど有料職業紹介市場が成長した1年だったと読み取れます。

日経平均株価の推移
日経平均株価の推移

有料職業紹介事業所数も過去最高となる22,977事業所に増加

有料職業紹介事業所数も過去最高となる22,977事業所に増加

有料職業紹介事業所数は8年連続で成長し続け、直近では前年比で105%、10年間で128%増加し、22,977事業所となりました。

国内のセブンイレブンの店舗数が20,929店ですので、それよりも多いことになります。また全国の駅の数を約9,500とすると、すべての駅に最低2つ以上の有料職業紹介事業所が存在している計算となります。この数値を見ると、いかにこの20年で求職者や求人企業にとって有料職業紹介、転職相談が身近な存在になったか実感できるでしょう。

ちなみに、2001年の事業所数は4,675事業所、市場規模は867億円です。20年を経て事業所数は約5倍となり、市場規模は約6倍に成長してきました。また、無料を含めた事業所数においても前年比で+10.6%の増加となり、過去10年で最も高い成長率の1年となりました。

ただし、これらの成長率を都道府県別で比較してみると、高い成長率を示すのは主に東京や大阪等の都心部に限られ、一部の地域では前年割れしていることも顕著に現れています。

県別の許可事業所数

人材紹介という利便性の地域間格差を少しでも埋めるべく、HRTechが実現できることとして、「求人プラットフォーム」という概念があります。当社でも、全国27団体の地域金融機関と連携してこの地域間格差を是正しつつ、日々深刻化していく都心部への人口集中緩和をするための事業を推進していますが、この地域間格差の解消は、人材の流動化による日本経済の活性化を担う我々人材紹介業界全体で取り組む課題です。

人材業界のReins(レインズ)?意外と知らない人材紹介会社向け求人プラットフォームとは?

 

なおこの事業所数は法人数とは異なり、事業所ごとの申請総数となるため、厚生労働省職業安定局が運営している「人材サービス総合サイト」の検索結果と差がありますが、今回の投稿における基礎データは、厚生労働省職業安定局需給調整事業課が発表するハローワークシステムより集計された有効事業所数を参考に分析しています。

まとめ:大きく成長した2019年。次のチャンスは?

まとめ:大きく成長した2019年。次のチャンスは?

2019年の人材紹介市場は、その手数料収入でもある市場規模においても、また新規参入者含めた有料職業紹介事業所数においても、異常値とも言える成長を成し遂げた1年でした。

本来であれば、2020年もこの市場は人材紹介業の様々な多様化、分散化、手法のオンライン化等々によりさらなる大きな市場へと成長すると、市場全体が「たった2ヶ月前まで」バラ色の未来を予測していました。そう、新型コロナウイルス問題が出てくるまでは、、、、。

ただし、日本の有料職業紹介市場も幾多の経済危機を乗り越え成長してきた経緯もあり、当社では、今回の前代未聞の経済危機をも、さらなる市場の発展のきっかけとして活用できると考えており、大きなチャンスでもあるととらえています。

今後このブログでは、通常投稿に加えて、人材紹介応援研究所による特別企画として専門性を活かした記事を投稿していく予定です。業界みなさんの叡智を集結し、この日本経済、世界経済の大転換期を、業界発展のチャンスに展開していきましょう!

また、この企画のレポートや数値、分析等にご意見等ございます際は、どんどんアップデートしていきますので、何卒ご意見をコチラまでお願いいたします!

お問い合わせはこちら

また、当社ではブログの他にも最新の人材紹介の業界動向や、非公開情報をご説明するオンラインセミナーも開催しております。ご興味がある方は、ぜひお気軽にセミナーにお越しください!

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次回は、「コロナショックで人材紹介市場に何が起こるか?リーマンショック前後の20年の変化がヒントに!」です!

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片岡良彰

大手人材企業にて、人材紹介と求人広告の営業に従事、その後人材ベンチャー企業で新卒紹介・中途紹介の両面コンサルタントを経験。
得意業界は機械系・人材系。

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