【2025年最新版】人材派遣の手数料とは?マージン率の相場・内訳・開示義務まで解説

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人材派遣で得られる手数料はいくら?

人材派遣で得られる手数料はいくら?

日本は少子高齢化が進み、飲食業や宿泊業、建設・建築、IT業界、運送業などの業界で人手不足となっています。そのため昨今では、人材ビジネスを活用する企業も増えてきました。

このような情勢下で、人材ビジネスの起業を考えている方もいるのではないでしょうか。

今回本記事では、人材派遣会社の「手数料」に焦点を当てて解説します。人材派遣業の収益となる手数料の仕組みや、相場、マージンの使い道、また同じ人材ビジネスである「人材紹介業」の手数料についても触れます。双方の手数料の仕組みを比較し、人材ビジネス起業の際の参考にしてみてください。

人材派遣の手数料の仕組み

人材派遣の手数料の仕組み

人材派遣業は、求人している企業に登録スタッフを派遣することで成り立っています。

人材派遣会社起業後の収益の流れは、次の通りです。

  1. 人材派遣会社の登録スタッフを募集
  2. 派遣先企業と人材派遣会社の間で派遣契約を結ぶ
  3. 登録スタッフと人材派遣会社の間で雇用契約を結ぶ
  4. 派遣社員(登録スタッフ)を派遣先企業に送る
  5. 派遣先企業から手数料を得る
  6. 派遣社員に人材派遣会社から給料を支払う

まず、派遣社員を希望する求職者を登録スタッフとして自社に登録します。そして、登録スタッフの派遣先が決まったら登録スタッフの間で雇用契約を結び、企業に派遣社員として派遣します。

人材派遣会社は、派遣社員の送り先である企業から毎月手数料を受け取り、そこからスタッフの給料を支払います。人材派遣会社は、手数料から得られるマージンで運営されているということです。

派遣社員を雇う企業にとっては、コスト削減と効率化のメリットがあります。手数料を払うことを考えたらコストがよりかかるような気がしますが、実際には社会保険や雇用保険、給与計算といった労務関係については派遣会社が責任を負うので、これらの業務から開放されます。

また繁忙期のみの雇い入れや、専門スキルを持つ人材を補うことも可能です。このように顧客企業にとっても多くのメリットがあります。

人材派遣の手数料の相場

人材派遣の手数料の相場

手数料をどのくらいの金額に設定したらよいかは、競合他社の相場をみて決めるとよいでしょう。ここでは人材派遣の手数料の相場を解説します。

人材派遣料金の相場とマージン率

厚生労働省の「労働者派遣事業の令和5年度事業報告の集計結果」による、派遣労働者の賃金の相場(一部の職種を抜粋)によると、派遣社員の賃金が職種によって差があることがわかります。(厚生労働省の資料をもとに表を独自に作成)

派遣労働者の賃金(8時間換算)

令和4年度平均 令和5年度平均 増減額
全業務平均 15,968円 16,190円 +222円
一般事務従事者 11,656円 11,893円 +237円
飲食物調理従事者 9,847円 10,202円 +355円
接客・給仕職業従事者 10,542円 10,818円 +276円
運搬従事者 10,846円 11,049円 +203円
建設従事者(建設躯体工 事従事者を除く) 17,797円 18,184円 +387円
営業職業従事者 15,809円 15,878円 +69円
製造技術者 17,104円 17,279円 +175円
情報処理・通信技術者 20,120円 20,430円 +310円

人材派遣料金には派遣労働者の賃金だけでなく、人材派遣会社の取り分も含まれています。この人材派遣会社の取り分の割合をマージン率と呼びます。

マージン率の計算式は次の通りです。

  • マージン率=(派遣料金総額の平均ー派遣労働者の賃金)÷派遣料金総額の平均×100

派遣登録者からすると、マージン率を比較することにより、その人材派遣会社が割高か割安か知ることもできます。マージン率は職種によっても異なり、人材確保が難しい職種ほどより高いマージンが設定される傾向があります。

特に高いのはIT系でソフトウエア開発の場合で、マージン率の相場は40%前後です。これが事務系だと26~30%前後、サービス業で26~32%前後です。

しかしこのマージンは、そのまま会社の利益になるわけではありません。派遣社員の育成などにも利用されるので、マージンが高い会社ほど派遣社員の育成に力を入れている可能性も高いです。

人材派遣の手数料の決め方

手数料は派遣会社の裁量で決められます。しかし、相場より高ければ企業はその派遣会社を避けますし、低く設定すれば利益がでません。

そのため各業界の手数料相場を知った上で、自社の手数料を設定する必要があります。派遣手数料の種類ですが、「時給請求」の場合もあれば、「月極料金」を好む企業もあります。特にIT業界の場合は、予想される残業代を含む「込々の月極請求」を希望する傾向があるようです。

厚生労働省の「労働者派遣事業の令和5年度事業報告の集計結果」による、人材派遣料金の相場(一部の職種を抜粋)は次の通りです。(厚生労働省の資料をもとに表を独自に作成)

手数料を含む人材派遣料金(8時間換算)

令和4年度平均 令和5年度平均 増減額
全業務平均 25,843円 26,194円 +351円
一般事務従事者 18,107円 18,494円 +387円
飲食物調理従事者 14,301円 14,581円 +280円
接客・給仕職業従事者 15,252円 16,092円 +840円
運搬従事者 15,959円 16,284円 +325円
建設従事者(建設躯体工 事従事者を除く) 28,515円 30,252円 +1,737円
営業職業従事者 26,787円 26,013円 -774円
製造技術者 28,289円 29,115円 +826円
情報処理・通信技術者 33,394円 33,810円 +416円

表によると、専門スキルの必要がない接客業や一般事務の相場は低めで、ITやクリエイティブ系といった専門的な技術・知識が必要になる職種で、高めの派遣料金となる傾向があります。

ただし、これはあくまで相場であり、最終的な手数料、企業との交渉で決まります。

人材派遣で得た収益(マージン)の使い道と内訳

人材派遣で得た収益(マージン)の使い道と内訳

人材派遣会社のマージンが30%や40%もあると聞くと、「ぼったくり」だという声も起きそうです。しかしこのマージンのすべてが会社の収益になるわけではありません。

一般社団法人 日本人材派遣業界の登録型派遣料金の内訳に関する資料をみると、派遣料金の内訳は次の通りです。

  • 派遣社員賃金 70.0%
  • 社会保険料 10.9%
  • 派遣社員有給休暇費用 4.2%
  • 派遣会社諸経費 13.7%
  • 営業利益 1.2%

このうち社会保険料に含まれるのは、健康保険料と厚生年金です。内訳をみると、手数料の内およそ85%ほどが、派遣社員のために使われていることがわかります。

また、諸経費には人材派遣会社で働く社員(リクルーティングアドバイザーやキャリアアドバイザーなど)の人件費、派遣社員の教育研修費、オフィスの賃料、人材募集費などが含まれます。

中小企業庁の「令和5年中小企業実態基本調査速報」によると、令和5年度の中小企業の営業利益率の平均は4.29%です。人材派遣会社の1.2%は高いわけではなく、どちらかというと人材派遣業は薄利多売の業界いえるでしょう。

人材派遣よりも人材紹介の方が利益率は高い

人材派遣よりも人材紹介の方が利益率は高い

同じ人材ビジネスでも、人材紹介は求職者の紹介のみを行うサービスです。求職者と雇用契約を結ぶのは人材紹介会社ではなくクライアント企業であり、報酬は紹介した人材が採用された際にのみ発生します。

ここでは人材派遣と人材紹介の違いについて解説します。

人材紹介の手数料の決め方

人材紹介の手数料にはルールがあり、「上限制手数料」と「届出制手数料」のどちらかを選択し、起業する時点で役所に届け出なくてはなりません。

「上限制手数料」は、紹介手数料の額が労働者の賃金(6カ月分)の10.5%以下と決まっています。たとえば、想定年収1,000万円の人を斡旋して採用されたなら、半分の500万円の約10%、50万円を手数料として受け取れます。

一方、「届出制手数料」は想定年収の最大50%を上限として、自由に手数料を設定できます。たとえば、手数料を35%で設定した場合、想定年収が1,000万円ならば350万円の手数料を得られることになります。多くの人材紹介会社が採用している方法が、この届出手数料制です。

人材紹介の手数料の相場と利益率

人材紹介の手数料は、届出制手数料の場合、想定年収の30~35%が相場だといわれています。

想定年収とは手数料算出の際に使われるもので、年収とボーナスに交通費以外の各種手当(家族手当や住宅補助費など)を加えた金額のことをいいます。

また人材紹介業の利益率は、おおよそ20~35%です。人材派遣業の営業利益率1.2%と比較すると、人材紹介業のほうが高水準だとわかります。

人材派遣と比べて人材紹介の利益率が高い理由

売り上げに対する利益率は、「利益÷売上×100」で算出します。ここでいう利益とは、売上から人件費やオフィスの賃料や光熱費などの経費を引いて残った額のことなので、売上に対して経費の割合が低いほど利益率は高くなります。

人材派遣会社の場合、企業から受け取る手数料の約85%近くが派遣社員の給料などに当てられます。つまり経費の割合が高いので、利益率は低くなります。(一般社団法人 日本人材派遣業界の登録型派遣料金の内訳に関する資料によると1.2%前後)

人材紹介会社の場合、人材派遣会社と異なり求職者と直接雇用契約を結びません。給料を求職者に払う必要がなく、その分経費を安く抑えることができます。そのため人材派遣に比べ高い利益率を実現できます。

人材紹介の手数料の留意点

人材紹介の手数料は高額です。企業からしてみれば、数百万円を支払って採用した人材がすぐに退職してしまうと大損です。

そのため多くの人材紹介会社と企業は、契約を結ぶ際に返還金の規定を設けます。返金規定により、採用した人材が一定期間内に退職した場合、人材紹介会社側は支払われた手数料を返還することになります。

返還額や早期退職するまでの在職期間については、双方で交渉して決めます。返還金規定の一例は次の通りです。

  • 入社後1カ月以内:紹介手数料の90%を返還
  • 入社後1カ月超3カ月以内:紹介手数料の50%を返還

人材派遣費用の相場を把握しよう

人材派遣費用の相場を把握しよう

人材ビジネスには、人材派遣と人材紹介があります。人材派遣は継続的に企業からの手数料を得やすいですが、利益率が低めです。また、派遣社員の給料を支払う必要があるのでそれに伴う労務関係の責任も発生します。

一方、人材紹介は成功報酬型の手数料です。採用されなければ利益がないかわり、採用されたときの利益が高く、求職者は企業と雇用契約を結ぶので労務関係の責任も発生しません。

人材ビジネスで起業するのであれば、それぞれのメリット・デメリットを知った上で参入する業態を決めましょう。

もし人材紹介業で起業するなら、人材紹介サービスを活用するのもおすすめです。例えばクラウドエージェントならば、常に10,000件以上の求人データベースを活用できるため、求人開拓をすることなく豊富な求人を求職者に紹介できます。

専門家のノウハウを得ることができたり、起業サポートも受られたりするので、効率的かつスピーディーに会社を軌道にのせることができるでしょう。興味がある場合は無料で資料請求できます。

 

 

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辻本哲宏

大学卒業後、ファッション系ECサイト運営会社にてCS、バイヤー職を経験。
その後、総合人材サービス会社に転職後、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーに従事し、20〜40代の営業系職種をメインに、年間約400名の転職相談、約30社の企業採用支援を担当。

その後、海外現地在住の高度外国人材採用支援サービスの大阪立ち上げに参画し、企業の高度外国人(主にエンジニア)採用支援にも従事。

groovesでは人材紹介事業での独立開業コンサルティング業務を経験し、現在は人材紹介会社様へのCrowd Agent導入をご支援。
得意領域は20〜40代の営業系職種。

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