人材派遣会社はどうやって利益を得ている?儲かる仕組みを解説

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人材派遣会社の立ち上げを検討している方は、人材派遣業を始める前に、人材派遣の基本情報をおさえ、利益を得る仕組みがどのようになっているのか把握しておく必要があります。また、会社の設立費用や法律に関する知識も大切です。

そこでこの記事では、人材派遣ビジネスの基本や仕組み、人材派遣によって得られる利益の割合だけでなく、人材派遣を成功させるためのポイントも詳しく解説します。

人材派遣ビジネスの基本と仕組み

人材派遣ビジネスの基本と仕組み

まずは、人材派遣ビジネスの基本と仕組みをおさえておきましょう。ここでは、人材派遣の種類や人材派遣会社の設立費用、法律などを解説します。

人材派遣とは

人材派遣の場合、派遣社員にとって派遣先企業はあくまで「勤務先」であり、「雇用主」は人材派遣会社です。そのため、正社員や契約社員とは異なり、派遣会社と派遣先企業の2社に関わることになります。

派遣会社と派遣先企業は「派遣契約」を結び、それに基づき派遣社員を派遣します。派遣会社は、派遣社員に対して、給料を支払うだけではなく、仕事の紹介や教育・研修なども行います。

人材派遣の特長は、他の人材ビジネスよりも収益が安定しやすいことです。たとえば、人材紹介業は成功報酬型の収益モデルのため、収入を得られるのは紹介した人材が募集元に採用されたときの1回のみです。一方、人材派遣業は、企業に人材を派遣している期間は定期的に収入を得られます。

人材派遣には3つの種類がある

人材派遣には、次の3つの種類があります。

  • 登録型派遣
  • 無期雇用派遣
  • 紹介予定派遣

ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

登録型派遣

派遣会社が働いてくれる人を「登録者」として募集し、その中から派遣先企業に合う人材を選びます。派遣会社は派遣契約期間のみ登録者を社員として雇用し、給料を支払います。派遣契約が終了したときは、派遣社員と派遣会社との雇用契約もなくなります。

登録型派遣における派遣会社側のメリットは、登録者が働いていない場合、給料の支払いがないことです。

無期雇用派遣

雇用期間に関わらず社員として雇用するシステムです。派遣社員は、派遣会社の社員募集の選考を受けて、社員として入社します。派遣会社は、派遣社員の派遣先が決まらず就業していない期間も給料を支払う必要があります。

無期雇用派遣は、派遣会社にとって優秀な人材を確保できるというメリットがあります。社員募集の選考があるため、会社が必要とする優秀な人材も確保しやすい仕組みになっています。

紹介予定派遣

紹介予定派遣は、派遣先に直接雇用されることを前提に、派遣社員として一定期間就業するスタイルです。派遣期間終了時に派遣社員と派遣先企業が合意した場合、派遣社員は正社員、あるいは契約社員になることができます。派遣期間は最長6ヶ月、短くすることも可能です。

派遣先企業は即戦力を採用できるメリットがあり、派遣社員は自分に合った会社を見つけられると、今注目されている雇用形態です。

人材派遣会社の設立費用

人材派遣会社を設立する際は、さまざまな費用がかかります。目安となる人材派遣会社の設立費用は、次の通りです。

必要な費用 概要 金額
会社設立費用 会社を登記するための費用 60,000~250,000円
免許申請 免許を労働局に申請する費用 150,000円

また人材派遣会社を立ち上げる場合、資産要件として「2,000万円の基準資産額」が定められています。そのうち、1,500万円以上は現金が必要です。

さらに、事業所の面積がおおむね20平方メートル以上あることも要件となっており、オフィスの賃料やその他人件費と、人材派遣業の起業にはそれなりの資本が必要だといえます。

人材派遣の運営に関する法律

人材派遣業を行うためには、派遣元責任者が1人以上必要です。派遣元責任者の資格は、派遣元責任者講習を受講するだけで取得できるため、事前に特別な勉強をする必要はありません。また、講習会は全国で開催されており、その費用は5,000円~10,000円程度です。

人材派遣の運営に関する法律では、次のような業務を取り扱えないことも認識しておきましょう。

  • 港湾
  • 建設
  • 警備
  • 医療関連業務
  • 弁護などの士業

こうした人材派遣の運営に関する法律は、立ち上げる前にしっかり確認しておくことが必要です。

人材派遣によって得られる利益の割合

人材派遣によって得られる利益の割合

人材派遣によって得られる利益の割合は、会社や職種によって異なります。ここでは、人材派遣会社のマージン率平均や人材派遣会社が得られる利益の内訳を詳しく見ていきましょう。

人材派遣会社のマージン率平均

派遣会社のマージンは、「派遣先企業からの支払い-派遣社員への賃金」です。つまり、マージン率とは派遣先企業から支払われる派遣料金と、派遣労働者への賃金の差額割合のことです。

目安となる業種別平均マージン率は、次の通りです。

業種 マージン率(平均)
クリエイティブ 28~29%程度
事務 26~30%程度
ビル・建設管理 20~32%程度
放送 23~32%程度
サービス 26~32%程度
IT 40%程度

上記の通り、マージン率は20%~30%が平均といえるでしょう。

参考:平成25年度 労働者派遣事業報告書の集計結果

人材派遣会社が得られる利益の内訳

人材派遣会社が得られる利益の内訳は、次の通りです。

  • 派遣社員の給料:70%
  • 派遣社員に関する費用:15.1%
  • 派遣会社の営業利益:1.2%

ここでは、それぞれの詳細を紹介します。

派遣社員の給料は70%

派遣先企業から支払われた料金のうち、70%は派遣社員の賃金です。つまり、派遣料金の大半を占めているのは派遣社員の給料だということです。また、70%は目安となるため、職種や派遣会社によってパーセンテージは多少前後します。

参考:一般社団法人 日本人材派遣協会

派遣社員に関する費用は15.1%

給料以外に派遣会社が負担する、派遣社員に関する費用は全体の15.1%です。その内訳は次の通りです。

  • 社会保険料:10.9%
  • 有給費用:4.2%

社会保険料とは、厚生年金や健康保険などのことであり、有給費用とは派遣社員の有給休暇費用のことです。派遣社員に関する費用と派遣社員の給料を合計すると、85%を超えています。

参考:一般社団法人 日本人材派遣協会

派遣会社の営業利益は1.2%

派遣社員に関する費用と派遣社員の給料、さらに諸経費を差し引くと、派遣会社の営業利益は1.2%となりますが、会社に関わる諸経費は、次のようにたくさんあります。

  • 募集のための費用
  • オフィスの賃借料
  • 営業などの人件費
  • 相談センターなどの運営費
  • 研修・教育費用 など

諸経費は、ある程度削ることができるものもありますが、社会保険料が年々上がっている状況であり、大幅な削減は見込めません。人材派遣を成功させるためには、営業利益をアップさせる対策が必要です。

参考:一般社団法人 日本人材派遣協会

人材派遣を成功させるためのポイント

人材派遣を成功させるためのポイント

人材派遣を成功させるためには、優秀な人材を確保することや専用コンサルタントに相談すること、新規開拓営業にも注力することが重要です。また、できる限り経費を削減することも意識する必要があります。ここでは人材派遣を成功させるためのポイントを紹介します。

専用コンサルタントに相談する

人材派遣に関してわからないことがあれば、専用コンサルタントに相談することをおすすめします。人材派遣会社の立ち上げにはさまざまな法律があり、自分で調べると時間や労力がかかってしまうことも、専用コンサルタントに相談すれば素早く解決することができるでしょう。

人材派遣業会は大手をはじめ競合も多い業界です。専用コンサルタントに相談しながら進めていけば、専門的な幅広い知識を得ながら独自の強みを活かしていく方法を考えることもできます。

人材派遣会社の立ち上げに詳しいコンサルタントによる無料相談会も開催されているため、一度参加してみることをおすすめします。

優秀な人材を確保する

派遣会社が好調な業績を保持するためには、派遣先企業をたくさん獲得する必要があります。そのためには、優秀な人材を確保しなければなりません。

一般的に派遣先企業は、未経験者よりも実務経験のある人を必要としています。実務経験者ならスムーズに業務を進められて、自社の利益アップにつながるからです。

優秀な人材を確保するためには、広告戦略を練るだけでなく待遇・福利厚生面を充実させましょう。研修・教育制度が万全であったり、他の会社よりも高給与だったりすれば、派遣社員の候補者を集めやすくなります。いずれにしても、他の会社にはない強みを作り、積極的にアピールすることが重要です。

新規開拓営業にも注力する

派遣先企業を増やすために、新規開拓営業に力を入れることも必要です。新規開拓営業のためには、見込みのある会社をリストアップして交渉するだけでなく、どのような人材を欲しているのか詳しくヒアリングしたり、コンサルタントのように人材の提案をしたりすることも大切です。

新規開拓先は、他の派遣会社が掲載している求人情報から探すこともできます。合同で複数社が派遣社員を出している会社なら、交渉次第で良い方向に進む可能性があります。

また、既存顧客の中でも派遣スタッフの増員を希望する会社もあります。既存顧客に対するフォロー営業にも注力しておきましょう。

経費を削減する

人材派遣を成功させるためには、売り上げをアップさせる工夫のみならず、経費を削減することも大切です。しかしながら、派遣会社が派遣社員に対して支払う社会保険料や有休費用は削減できないため、変動費のコントロールを行うようにしましょう。

変動費を削減する場合、人材派遣管理システムを導入することをおすすめします。人材派遣管理システムがあれば、派遣社員に関する管理業務や求人募集、派遣先企業とのマッチング機能なども備わっているため、業務効率化を図ることができます。

人材派遣の仕組みを理解して利益率の向上を目指そう

人材派遣の仕組みを理解して利益率の向上を目指そう

人材派遣は、派遣社員にとって派遣会社が雇用主になり、派遣先企業が勤務先となります。そのため、正社員や契約社員とは異なり、派遣会社と派遣先企業の2社に関わるスタイルです。

また、人材派遣には、登録型派遣と無期雇用派遣、紹介予定派遣の3種類があるため、本格的に人材派遣会社を立ち上げたい方は、それぞれの特徴もおさえておきましょう。

職種や企業によって変動しますが、人材派遣会社のマージン率は平均20%~30%です。人材派遣で利益を上げるためには、専用コンサルタントに相談することや優秀な人材を確保する戦略、経費を削減する工夫などが必要です。

人材派遣と同じ人材ビジネスでも、人材紹介は資本金が少なく済み、起業のハードルが低いため、人材紹介を検討してみるのもよいかもしれません。人材紹介は「派遣社員に給料を払い続ける」といった事業ではないため、費用面に自信がない方でも安心です。

人材紹介に興味のある方は、人材紹介業サポートサービスの利用がおすすめです。たとえば、クラウドエージェントは、8,000件以上の求人を保有し、候補者管理機能や自社求人管理機能、進捗管理機能といった便利な機能を備えている人材紹介会社向けサービスです。

専任コンサルタントによるサポートや無料セミナーも充実しているため、人材紹介業を始める際は強い味方になってくれます。人材派遣だけではなく、人材紹介サービスも検討してみませんか。

 

辻本哲宏

大学卒業後、ファッション系ECサイト運営会社にてCS、バイヤー職を経験。
その後、総合人材サービス会社に転職後、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーに従事し、20〜40代の営業系職種をメインに、年間約400名の転職相談、約30社の企業採用支援を担当。

その後、海外現地在住の高度外国人材採用支援サービスの大阪立ち上げに参画し、企業の高度外国人(主にエンジニア)採用支援にも従事。

groovesでは人材紹介事業での独立開業コンサルティング業務を経験し、現在は人材紹介会社様へのCrowd Agent導入をご支援。
得意領域は20〜40代の営業系職種。

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