人材紹介会社において、集客は重要な業務フローの1つです。そこで、多くのユーザーが実際の求人検索にも役立てている、求人検索エンジン「スタンバイ」を活用してみたい、と考えている方も多いのではないでしょうか。
求人情報検索エンジンの「スタンバイ」は、Indeedのようにインターネット上に掲載された求人情報を自動で集め、一箇所でユーザーが検索・表示・応募できるいわゆる求人情報エンジンと呼ばれるサイトのひとつです。
掲載求人数も国内最大級の1,000万件以上と、幅広いエリアからユーザーのリーチを獲得できるサービスになっています。2020年12月より「Yahoo!しごと検索」と統合され、Yahoo!経由でサイトを訪れる求人者も多いことが特徴です。
本記事では、「スタンバイ」の特徴と併せ、広告掲載方法を費用がかかる場合とそうではない場合の2通りに分けて紹介します。
スタンバイとは
まずはスタンバイがどのようなサービスで、求人を収集する際は情報をどうやって集めているのか、概要を解説します。
求人情報に特化した検索エンジン
スタンバイは求人情報に特化した、いわゆる求人検索エンジンです。簡単に言えば、求人情報を集めてユーザーに分かりやすく見てもらうことに特化したGoogle検索やYahoo!検索、と考えるとイメージしやすいでしょう。
スタンバイに掲載される求人数は、2020年8月時点で1,000万件をこえています。ネット上に散らばる情報を検索・一括で確認できるように、自動的に情報を集めていく点が特徴的です。
正式なユーザー数は公開されていないものの、連携するYahoo!しごとカタログへの広告出稿も可能なことから、Yahoo!JAPANへアクセスするユーザーにもリーチ可能です。
リリースは2015年で、現在は株式会社スタンバイが運営しています。
求人情報が掲載される仕組み
スタンバイへ求人が掲載される仕組みは2つあります。
- 自社の採用ページをデータとして取得してもらう
- 採用管理システム(ATS)を利用して求人情報を掲載する
スタンバイ側など検索エンジンが有するロボットが、ウェブサイトにアップした文章や画像を周期的に取得し、さらに該当する検索エンジン向けに情報を組みなおして掲載してもらう仕組みを、クローリングといいます。
スタンバイでもこの仕組みを利用して、求人情報をデータとして取得し、掲載しています。
ただし、掲載がまだ行われていない場合、スタンバイ側では、自動でクローリングを行ってくれません。スタンバイへ直接依頼するか、広告代理店を経由して依頼することで、アップロードした求人やそれに関するデータをクローリングしてもらえるようになります。
また、採用担当者の負担を減らすための採用管理システム(ATS)についても理解を深めておく必要があります。
採用管理システムを使えば採用時に必要な情報をサイト形式で分かりやすくまとめるほか、そのサイトを通じて応募してきたユーザーとのコミュニケーション、異なる採用媒体ごとの情報管理をまとめて行えます。
こうしたサービスの1つとして、スタンバイにも情報を共有できる場合があります。
採用管理システムそのものは無料から有料まで多種多様で、選ぶための時間や運用コストはかかりますが、自社に合うサービスを利用できる点はメリットとなります。
スタンバイの特徴
求人情報をより多くの求職者に低コストで知ってもらいたい、求人情報の連携を自動化したい、などといった悩みをスタンバイは解決してくれます。その特徴を見ていきましょう。
無料で求人情報を掲載できる
自社サイトのデータや採用管理システムを連携することで、無料で求人情報を掲載できます。自社サイトで求人データを掲載していない場合は、採用管理システムの利用がおすすめです。
ただし、採用管理システムや自社サイトへの求人の掲載が前提となるため、検索エンジン上に直接無料で求人を投稿することはできません。
それに伴い、運用のために業務が増えることで、結果としてコストが発生する場合があります。
直接、無料で求人を投稿できないとなると、サービスの利用が少し手間に感じる方も少なくないと思います。しかし、手軽に参入しづらいということはそれだけ競合他社が簡単には増えにくいということでもあります。
また、スタンバイはYahoo!しごとカタログと連動している点も大きな特徴の一つです。他の採用媒体とは異なる側面から、独自のユーザーを獲得できる可能性があります。
パソコンだけでなく、スマートフォンからも設定が可能なため、出先で素早く対応したいときにも便利です。
全ての職種・雇用形態に対応
国内向けの求人検索エンジンであるスタンバイは、想定されるすべての職種や雇用形態を対象に、求人情報を掲載できます。
具体的には、アルバイトや学生、派遣、中途採用、ボランティアなどさまざまな形態があります。雇用形態を限定せずに求人情報を掲載できるため、複数のサイトを利用せずに、自社で出したい求人情報を全て掲載できます。
また、職種に合わせて給与や口コミがまとめられた「トピック」も掲載されており、ユーザーはその職種に就くために必要な情報を学習することができます。また、その「トピック」からユーザーが求人を検索することができるようになっています。
掲載された記事はSEO対策が施されており、Google検索など、スタンバイ以外の検索エンジンにおける掲載順位を高める効果が期待されます。ユーザーにとっては、トピックの記事を通じて職種への理解を深められるため、就職・転職時の職に対するミスマッチを防ぐことにもつながります。
掲載されている職種も多彩で、たとえばビューティーなら「セラピスト」や「ネイリスト」といった一般的なものから「きものアドバイザー」のように特色あるものも含まれます。
また、地域や職種だけでなく、働く内容などユーザーがこだわりたいを条件の軸として求人を出したい、といった要望がある場合にも、ユーザーに適切に情報を伝えられます。たとえば、次のようなこだわり条件からも、ユーザーは求人を検索可能です。
- 在宅ワーク
- シフト自由・選べる
- まかないあり
- 扶養控除内OK
- 交通費支給
ユーザーが情報を検索しやすいように求人広告を作ることで、こだわりたい条件に合致する応募者に巡り合う確率が高くなります。
求人情報の連携を自動化できる
自社サイトで求人情報を出している場合、クローリングによりサイトの情報を自動で掲載できます。更新も反映されるため、サイトの運用・管理も含めて採用担当者の負担軽減につながるでしょう。
また、スタンバイでは「スポンサー求人広告」という有料掲載もできます。求人情報がクリックされると課金される仕組みで、スタンバイ内の掲載順位を高めつつ、連携する「Yahoo!しごとカタログ」へ求人を掲載することも可能です。
自社サイトで求人情報を出し更新を行うと、スタンバイ側が自動で情報を収集し、Yahoo!しごとカタログ側も変更が反映されるため、結果としてデータ更新の工数を減らせます。
求人情報のもととなるサイトを持っていない場合を除き、改めて自社サイトや採用ページを作る必要はありません。
求人広告を広く出しつつ、採用担当者の負担軽減を目指したい場合に、クローリングが利用できるスタンバイを使うことで、業務改善も達成できるでしょう。
他社の求人検索エンジンとの違い
スタンバイと他社の求人検索エンジンとの違いは、大きく分けて2つあります。求人検索エンジンを選ぶ際の参考にしてみてください。
デバイスごとに広告の露出度を調整できる
スタンバイでは、スマートフォンとパソコンでそれぞれ、有料掲載時のクリック単価を個別に設定できます。したがって、次のような予算調節と広告の露出度の調節が可能です。
- バイト募集をスマートフォンのみで行いたい
- 正社員募集をパソコンのみで行いたい
- どちらも同じ額ではじめて反応の良いデバイスを確認したい
詳しくは後述しますが、デバイスごとの広告の露出度の調整は求人が難しいとされる介護職や看護職などの職種の募集で効果を発揮します。単価を高くしてページをスクロールせずとも閲覧できる上位表示を目指すことも可能となります。
また、採用成功率が高い求人があれば、さらにスマートフォンとパソコンのどちらの方が反応がよいか確認できます。結果として優先的に入札し、ユーザーからのクリック率を高めることで、更なる集客につなげられるでしょう。
コスト面だけを強く意識した場合は、Indeedの方が15円からと低コストです。しかしパソコンとスマートフォンで、別々のクリック単価を設定することはできません。
この有料掲載における媒体ごとのクリック単価の差別化は、Indeedや求人ボックスとは異なるメリットでもあります。
Yahoo!しごとカタログと連携している
スタンバイではYahoo!JAPANが運営するYahoo!しごとカタログと連動しているため、こちらにも求人情報が掲載されます。連携によって得られるメリットは、次の3つです。
- 求人情報が掲載される場所が自動的に増える
- Yahoo!しごとカタログのデータをもとにマッチング精度を高められる
- ミスマッチを防ぐことで自社の評価を高められる
Yahoo!しごとカタログとは、自分に合う会社や職場を見つけることを目的に、ユーザーが企業の口コミを自由に投稿できるサイトです。そのサイトの従業員や元従業員の視点から、たとえば次のような内容が投稿できます。
- 仕事内容
- 給与・待遇
- 職場の雰囲気
- 成長・キャリア
- 人事・評価制度
- 女性の活躍・働きやすさ
- ワークライフバランス
- 入社理由・入社後ギャップ
- 面接・選考
- 退職検討理由
- テレワーク・リモートワーク
- 副業
投稿された口コミは、内容に応じて良い点と不満な点に分けられ、雇用形態別や職種別にユーザーが検索できます。ユーザーが口コミを確認したうえで求人もチェックできるため、求人先の企業とのミスマッチを防ぎ、内定後の辞退を防ぐことにもつながります。
スタンバイへの有料掲載が必須となりますが、ミスマッチを防ぐこと自体がメリットとなるため、人材紹介会社にとっては価値のある有料掲載といえます。
また、Yahoo! JAPAN 媒体資料 によると、よく利用するユーザー層は、パソコンとスマホどちらのデバイスでも、男女ともに40代~60代が比較的多いとされます。合わせて、日本国内のユーザーへ発信しやすい点が強みです。
そのため、この年齢層で、なおかつ国内へ優先的に求人情報を提供し、人材獲得につなげたい場合に活用できます。
スタンバイに求人情報を無料で掲載する方法
スタンバイの特徴で解説したように、スタンバイへ求人情報を費用をかけずに掲載するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。ここでは採用サイトの有無に分け、費用をかけずに掲載する方法を解説しますので、自社に当てはまる方の解説を参考にしてください。
自社の採用サイトがない場合
自社の採用サイトがない場合、スタンバイと提携する採用管理システム(ATS)を利用し、自社のサイトを制作したうえで、スタンバイ側との連携を行うことで掲載が可能となります。
採用管理システム(ATS)とは、求人ページの作成や面接対応、コンテンツ制作などをブログ感覚で利用できる、求人に関する活動を全体的にサポートするサービスのことです。対応するサービスは複数ありますが、主には次のようなサービスが挙げられます。
- engage(エンゲージ)
- 採用係長
- @company(アットカンパニー)
以前はビズリーチが提供する「かんたん求人作成」という無料システムがありましたが、2021年3月31日で提供が終了し、直接求人を投稿できなくなっています。
そのため、上記のような採用管理システムから、自社に必要な機能が備わったものを、運用コストも含めて選ぶことをおすすめします。
提供元ごとシステムは異なりますが、情報の連携や応募元が異なる対象者を一元管理するなど、さまざまな活用が可能となります。意識したいポイントは、次のような内容です。
- 掲載したい求人内容に合うか確認する
- 操作性が自分や社員に合うか確認する
- セキュリティ対策が整っているか確認する
- スタンバイを含め連携可能なサービスを確認する
- サイトへアクセスする応募者の操作性を確認する
ただし、採用管理システム(ATS)を利用しても、情報が不足しているとスタンバイの広告掲載基準に達していないと判断され、掲載が拒否されてしまうという可能性があります。
また、求人情報をクローリングにより掲載してもらう場合、申請後最短でも2週間はかかる点に注意が必要です。
掲載できず求人時期に間に合わなかった、ということがないように、できる限り早くから行動することをおすすめします。
自社の採用サイトがある場合
自社の採用サイトや求人サイトを持っている場合は、その情報をクローリングによって読み取ってもらい無料掲載を行うという方法があげられます。すでに掲載している情報を利用するため、基本的には無料、かつ、新たに求人ページを作らなくてもよい点がメリットです。
すでに情報が収集されて掲載されていることもありますが、情報収集が行われていない場合、申請が必要です。方法は、次の2通りです。
- 直接スタンバイへ連絡を取って依頼する
- スタンバイへ掲載できるように代理店へ依頼する
ただし、上記の採用管理システムを使う時と同様に、求人情報がスタンバイの基準を満たしていない場合、掲載はされません。
確実に掲載したい場合は、代理店経由を活用して求人内容のチェックとクローリングを依頼するのもひとつの手です。
スタンバイは、求人の掲載順位に関するアルゴリズムが公開されていません。したがって、SEO対策で求人情報を上位へ狙って表示させる、という手段をとることは現実的ではありません。
結果として、有料掲載と比べると、クローリングによる無料掲載は表示順位が下の方になります。ユーザーの目に留まらなかった結果、募集状況が想定と異なるかもしれません。
有料掲載を行う際も、代理店を利用することで適切なクリック単価の相談も行うことができます。
したがって、費用をかけてでも、効果的な採用活動ができるように、代理店経由のクローリングを検討しておくことも大切です。
スタンバイの有料掲載について
有料掲載を行うと「スポンサー枠」と呼ばれる、ユーザーの目に留まりやすく、クリックされやすい位置に求人を掲載できます。ここでは、その特徴と掲載方法を解説します。
有料掲載は掲載順が優遇される
スタンバイの有料掲載のメリットは、掲載順が優遇されることです。具体的には、求人をユーザーが検索した際、1ページあたり上から3~5番目までに掲載されます。
掲載順位の優遇は、ユーザーからの求人のアクセス数に影響します。スマートフォンとパソコンどちらでも、ページを動かすなどの手間をかけずにユーザーが求人広告を閲覧できます。
検索結果とクリック率は深い関係にあるとされ、掲載順位が高いほどクリック率が高まり、多くのユーザーから詳細な求人情報へアクセスしてもらえる可能性が高まります。
また、クリック1回ごとの上限費用で順位が決まるため、競合する他社の枠同士で、お互いに表示をつぶしてしまうこともありません。
求人案件にできるだけ多くのユーザーを呼びたい場合や、募集が難しいと考えられる条件が限定的な求人の場合は、有料掲載を活用することで難易度を下げられるでしょう。
ただし、有料掲載をしたからといって、確実にアクセス数や応募者数が増えるわけではありません。アクセス数が増えても、応募者や採用につながらないこともあります。
なぜなら、ユーザーにとって魅力的な求人とは限らないからです。したがって有料掲載は、分かりやすく魅力のある求人情報になっている、といったポイントがクリアできたうえで、効果を高めるために行う方法といえます。
料金はクリック課金型
スタンバイは、ユーザーが求人を見つけ、クリックして個別の求人内容を閲覧することによって課金されるクリック課金型です。そのため求人情報に興味を持って閲覧してくれたユーザーに対し、優先的に予算を割くことができます。
通常の求人サイトでは、予算や期間による制限がつくため、結果としてコスパが悪くなることがあります。しかしスタンバイであればクリック課金制で後払いとなるため、掲載期間中もコストを抑えつつ、効率的な運用が可能です。
実際には、求人1クリックあたり最低30円を上限単価として設定できます。最大で1,000円まで設定できるため、スポンサー枠の中でもより上位に掲載されたい場合には、予算を高めに設定すると良いでしょう。
上限クリック単価を計算する際は「目標顧客獲得単価(CPA)×想定される採用決定率」を元に計算を行うことをおすすめします。逆に採用決定率から、上限クリック単価をいくらにすれば目標が達成できるか逆算する考え方もできます。
実際のスタンバイにおけるクリック単価は、職種や時期、地域によっても左右されるものの、60~100円ほどです。
さらに、スタンバイ側のシステム上、上限クリック単価と実際のクリック単価がほとんど同じとなる傾向にあります。
また、1日で消化してもよい予算と、1ヶ月で消費してもよい予算を決めることができます。1日で消化してもよい予算を消化しきると、その時点で広告掲載がストップしてしまう点には注意が必要です。
しかし逆に言えば、1日で消化してもよい予算を超え、月あたりの予算が消化されることがないため、予算の使い過ぎを防ぎつつ、細かな戦略を立てることが可能だということです。
設定が困難な場合は、代理店へ依頼することも検討しましょう。費用はかかりますが、目標達成に必要なアドバイスを受けることができます。
有料掲載に設定する方法
実際に有料掲載を行う場合は、次の手順で行います。
- スタンバイにログインする
- 右側のメニューから「キャンペーン」を選択
- 「一覧」をクリック
- 有料掲載を行いたい求人を選択
- 掲載状況を確認し「掲載中」に変更
- 上限クリック単価を「PC(パソコン)」と「SP(スマートフォン)」それぞれに設定
- ページの下部にある「オプションを表示」をクリック
- 「日予算上限」と「月予算上限」のチェックボックスをはずす
- 「日予算上限」と「月予算上限」を入力して完了
また、採用管理システムを利用した場合は、次の手順で有料で掲載できるように設定をスタンバイ側でも行います。
- 採用管理システム側で広告を作成する(10件以上が1つの目安)
- 採用管理システムから求人情報がスタンバイへ送る
- スタンバイ側で審査が行われる
- 掲載
- 有料掲載の設定を行う
スタンバイにおける有料掲載は、採用管理システムによってはシステム内で直接行うことができる場合もあります。スタンバイ側へ移動する手間が省けるため、有料掲載を前提としている場合は、採用管理システム内でどこまで設定できるのか、事前に確認したうえで選択するのもひとつの手です。
スタンバイを人材紹介事業に活用しよう
スタンバイの特色は、求人情報をクローリングにより自動収集し、ユーザーにとって閲覧しやすい内容にしてくれるだけでなく、企業側の求人広告掲載の工数を減らしてくれる点にあります。
掲載できる求人は正社員からボランティアまで、全ての職種・雇用形態に対応しています。Yahoo!しごとカタログと連携しており、Yahoo!JAPANを通じた集客も見込めます。
ほかの採用媒体ではアクセスにつながりにくいユーザーや、Yahoo!JAPAN独自のユーザーを獲得したい場合にも活用できるでしょう。
また、手順を踏む必要はあるものの、スタンバイでは無料掲載をすることも可能です。有料掲載では、スマートフォンとパソコン別にクリック課金の上限を決められます。有料掲載で掲載順位を上位にすることで、ユーザーへの求人広告の露出を高めることも可能です。
まずは無料掲載を目指し、その後有料掲載を効果的に活用し目的に合った人材紹介を目指していきましょう。
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