キャリアコンサルタントは活躍の場が豊富にある
キャリアコンサルタントは、相談者の強み、適正、志向などを見極めつつ、仕事を通してよりよい生き方をできるようにアドバイスを行います。たとえば一般企業内で活躍するキャリアコンサルタントは、管理職研修や新人研修などのほかに、採用業務代行や、早期退職制度に関する転職支援などもおこなっています。
また大学の就職支援課における学生向けのキャリア相談や面接対策、就労支援会社やNPO法人にてニートや引きこもりの就職支援をすることもあります。キャリアコンサルタントの活躍場所は多岐にわたり、中には独立して仕事をこなす人もいます。
キャリアコンサルタントとして独立することは可能なのか
独立することは可能ですが、キャリアコンサルタントとしての仕事一本で独立することは、難しいかもしれません。高いコンサルタント料金を払ってキャリア相談をする意識がまだ日本には広まっていないためです。
すでに多くの実績を積み実力を認められているキャリアコンサルタントなら活躍できる場も広く、セミナーや研修の依頼も企業側から持ちかけてもらえるかもしれません。一方、経験が浅く無名の場合は仕事を自分の足で探す必要があります。キャリアコンサルタントは信頼性が重要視される仕事のためです。
独立するならば、まずキャリアコンサルタントの資格を取得しておくべきでしょう。平成28年よりキャリアコンサルタントの資格は国家資格となり、取得していない人がキャリアコンサルタントを名乗ることはできません。
また、社会保険労務士や行政書士など、キャリアコンサルタントと関係の深い事業を組み合わせると良いでしょう。競合他社との差別化になります。
キャリアコンサルタントの独立に関する基礎知識
キャリアコンサルタントと一言でいっても、その仕事内容は多種多様です。ここでは独立開業後の仕事先と、平均年収について解説します。
キャリアコンサルタントの仕事先
キャリアコンサルタントは平成28年の4月から、職業能力開発促進法により国家資格になりました。この資格を取り、登録することではじめてキャリアコンサルタントと名乗ることができます。
一般的な仕事先は次の通りです。これまでの経験を活かせる場はどこか考え、進路を決めましょう。
一般企業
早期退職制度や役職定年制度による転職、キャリアチェンジなどについて相談を受けます。
キャリアコンサルティングを専任としている人は少数派です。採用業務と両立したり、管理職となった人が資格を後から取得したりするケースが多いです。
人材関連企業
「人材紹介」では、コーディネーター職として求職者と企業のマッチングを図ります。そのため営業の要素も強くなります。「人材派遣」では、派遣スタッフとクライアント企業の継続的な関係を維持するためのコンサルティングを行います。
教育機関
学生の進学や就職相談が主な仕事です。常勤のスタッフのほかに、派遣社員として繁忙期限定で働くこともあります。また就職相談だけではなく、面接やエントリーシートの対策、企業からの求人票の受付、就職活動関連のイベント開催なども、仕事に含まれます。
就労支援機関
公的職業紹介機関(ハローワークなど)やNGO法人、ジョブカフェなどにおいて、ニートや引きこもりの就職相談を受けます。就労支援機関で働くキャリアカウンセラーは、非正規職員が多いです。また正社員として採用された後にキャリアコンサルタントの資格を取得する人もいます。ハローワークを訪れる人は年齢層も幅広く、経験もさまざまです。そのため高度なキャリアカウンセリングの技術が求められます。
フリーランス、事業主など
企業でキャリアコンサルタントとしての経験を積んだ後、独立して生計を立てている個人・法人事業主などもいます。キャリアコンサルティングだけでは厳しいので、社会保険労務士や中小企業診断士の資格を取得し、ダブルで活かす人が多いようです。また研究職や、ジャーナリストとして活躍する人もいます。
キャリアコンサルタントの平均年収
キャリアコンサルタントとして独立したいと考えている人は多くいます。しかし、厚生労働省の「キャリア・コンサルティング研究会報告書」(平成22年度)によると、キャリアコンサルタントの収入は多くはないことがわかります。
月収 | 比率 |
---|---|
0円 | 17.2% |
1~10万円未満 | 26.7% |
10万~20万円未満 | 20.8% |
20~30万円未満 | 24.7% |
30~50万円未満 | 28.1% |
50万円以上 | 2.4% |
キャリアコンサルタントの64.7%が、年収20万円未満です。ちなみに、この資料はあくまでキャリアコンサルタントに関連する月収であり、兼業する仕事の収入は含まれません。
たとえば人事部門など企業内で活躍するキャリアコンサルタントの場合、4割がキャリアコンサルタント以外の収入で800万円以上を得ています。しかしキャリアコンサルタントに限定して考えると7割が、月10万円未満の月収です。
つまりキャリアコンサルタントで生計を立てているのではなく、全体の業務の一部としてキャリアコンサルタントを兼任している人が多いと言えます。
キャリアコンサルタントの資格を取得するまでの流れ
キャリアコンサルタントの資格を取得し登録するまでの流れを解説します。
キャリアコンサルタントの受験資格
キャリアコンサルタント試験を受験するためには、まず受験資格を満たさなければなりません。厚生労働省のホームページには、以下の受験資格が記載されています。すべてを満たす必要はなく、いずれか1つ以上満たせば受験できます。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
- 上記の項目と同等以上の能力を有する者
国家試験を受ける
試験日は、「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)」と「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」の各ウェブサイトで公表されます。
2018年度の学科試験は、2月、5月、8月、11月に行われています。しかし昨今はコロナウイルスの影響もあり、試験が休止する可能性もあります。事前にホームページで開催日程を確認しましょう。
キャリアコンサルタントの試験科目は次の通りです。
- 職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
- キャリアコンサルティングの理論に関する科目
- キャリアコンサルティングの実務に関する科目
- キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
- キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目
試験は学科試験と実技試験に分かれています。日程が2つあり、最初に学科試験と実技試験(論述)を行います。そして別の日程にて実技試験(面接)を行います。別々に受験できるので、もしも前回の試験で片方受かっていれば、該当する試験は免除されます。
過去の実技(面接)では、ロールプレイが行われています。キャリアコンサルタント役の姿を、面接官に審査されます。ロールプレイの後は、口頭試問です。ロールプレイの内容次第で口頭質問に対する答弁が変わります。しかし「今後キャリアコンサルタントの資格をどのように活かしたいか」という質問は、事前準備が可能です。対策をしておきましょう。
試験の受験料は、学科試験が8,900円、実技試験が29,900円です。人材紹介業のサポートサービスであるクラウドエージェントはヒューマンアカデミーと提携していて、キャリアコンサルタント資格講座を5%OFFで受けられます。該当する場合や興味をお持ちのかたは、ホームページを確認してみましょう。
資格を登録する
試験に合格しただけでは、キャリアコンサルタントを名乗ることはできません。特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会「キャリアコンサルタント名簿」への登録が必要です。
登録には登録手数料8,000円と、登録免許税の9,000円がかかります。登録は「キャリアコンサルタントWebサイト登録センター」にてWeb上で行います。
キャリアコンサルタントの有効期限は5年です。有効期限満了日の90日前から30日前までに、忘れずに更新の申請をしましょう。更新には、更新手数料8000円と、1級キャリアコンサルティング技能士による知識講習(8時間以上)と技能講習(8時間以上)を受講する必要があります。
キャリアコンサルタントとして独立するための準備
キャリアコンサルタントとして独立する際に必要な準備を解説します。
まとまった資金を用意する
企業に雇われている場合と異なり、独立しフリーランスになると金銭面が不安定になります。特に独立したばかりの頃は、収入を得られるまでに時間がかかる可能性もあります。しばらくの間、無収入でも生活していけるようにまとまった資金を用意しておきましょう。
また念のため、クレジットカードの限度額を増やしておくと良いです。宣伝活動や金策が必要となったときに、クレジットカードで支払うことができます。
現場経験や実績を積んでおく
企業が仕事を依頼するキャリアコンサルタントを判断する際、実績を重視する可能性が高いです。特にフリーランスは即戦力として求められています。そのため、独立する前にキャリアコンサルティングの現場経験や実績を積んでおくことが重要です。
公的機関や教育機関では、資格がなくてもアシスタントとして働くことができます。今の職場でキャリアコンサルタントの経験をあまり積めないようであれば、利用してみましょう。
キャリアコンサルタントとして独立開業するには
キャリアコンサルタントとしての独立を成功させるために、できることはたくさんあります。ここでは成功のポイントをみていきます。
法人か個人かは慎重に検討する
独立するにあたってまず決めなければならないのは、法人か個人かという選択です。日本政策金融公庫総合研究所が2018年に行ったアンケートによれば、約85%が個人での独立を選択しています。個人で独立する場合、税務署に開業届を提出すればそれで個人事業主となれます。法人と比べて、起業するのが簡単です。後から法人化することができるため、独立しやすい個人からスタートする人が多いようです。
またキャリアコンサルタントは、法人化するメリットが少ない業種です。法人化すると社会的な信用を得られ、創業融資などを受けやすくなります。しかし、コンサルタント業はそれほど設備投資などに元手がかからないため、このメリットが半減するのです。
このように個人事業を検討するとよいようですが、注意するポイントもあります。簡単に設立できるのが個人事業のよいところですが、収入が増えてくると(700万円以上がめやす)税金面では法人のほうがメリットがあります。よく考えて決定しましょう。
また法人として独立する場合は、個人事業主よりも手続きが複雑です。インターネットや本で調べて設立準備をすることもできますが、労力や時間がかかります。法人の開業は、専門家に任せた方がスムーズにいくでしょう。
社会保険労務士の業務と組み合わせる
社会保険労務士とは、労務管理や社会保険に関する専門家です。社会保険、労務、福利厚生、年金などの相談にのります。そのためキャリアコンサルタント業務との相性がよく、組み合わせて独立している人が多いようです。
また中小企業診断士や行政書士も、キャリアコンサルタント業務と相性がよいといわれます。キャリアコンサルタントだけでは十分な収入を得られない可能性があるため、このように他の業務と合わせて運営することがおすすめです。収入をカバーできるだけでなく、他社との差別化にもつながります。
キャリアコンサルタント同士の人脈を形成する
独立後の仕事は知人からの紹介でもらえることも多いので、キャリアコンサルタントの橫のつながりや社外の人脈を大切にしておくと良いでしょう。
人脈を作るためには、勉強会やセミナーに積極的に参加して、幅広い人物と関係を深めておきましょう。意外なところから仕事の依頼や、転職の打診が入るかもしれません。
SNSを活用してアピールする
知名度が高いほど、仕事の依頼が入りやすいものです。自分自身を売り込み知ってもらうために、SNSを活用しましょう。
新卒者や若年層にアピールをするならば、TwitterやInstagramなどのSNSがおすすめです。ただし、あまりに多くのSNSを利用しようとするとその更新ばかりに時間が取られて、肝心の勉強や人脈作りがおろそかになりかねません。使用するSNSは1~2つに厳選した方がよいでしょう。
キャリアコンサルタントとして独立する際に大事なこと
キャリアコンサルタントとして独立する際の注意点を解説します。
試験合格前にキャリアコンサルタントを名乗ることはできない
仕事や転職の悩みにのることは、誰にでもできます。しかし、その際「キャリアコンサルタント」と名乗れるのは有資格者のみです。もしも違反した場合には、30万円以下の罰金も発生するので、資格を取るまではキャリアコンサルタントと名乗らないよう注意しましょう。
キャリアコンサルタントの資格だけで独立するのは難しい
国家試験対策をしていると、ついつい資格を所得することがゴールのように思えてきます。しかし試験合格は、あくまでスタート地点です。「キャリアコンサルタント」と名乗れるようになったからといって、すぐに仕事が入るとは限りません。
キャリアコンサルタントは昨今注目を集めている資格の一つであり、資格登録者も年々増えています。そのため資格保有者が多いので競合が多いです。競合との差別化をはかれるよう、社会保険労務士など他の業務を組み合わせたり、キャリアコンサルタントとしてのサービスを充実させたりと戦略を考えましょう。
キャリアコンサルタントでフリーランスを目指そう
キャリアコンサルタントは、キャリアについてアドバイスをする専門家です。キャリアコンサルタントを名乗るには国家資格を取得している必要があるため、まずは受験資格を確認した上で試験を受けましょう。
キャリアコンサルタントで独立を考えているのならば、社会保険労務士やそのほか異なる資格と組み合わせて起業することをおすすめします。請け負える業務の幅が広がるため、他社との差別化になったり、収入面をカバーできたりします。
まずは資格を取得し、キャリアコンサルタントの実戦経験を多く積むことからはじめてみましょう。
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