以前、人材紹介事業をするにあたり遵守すべき法律の一つである、「職業安定法」をご紹介しました。
今回の記事では、さらに、2018年1月に改正された内容について触れたいと思います。
職業安定法とは?
職業安定法は、昭和22年11月30日に制定された法律で、職業紹介や労働者供給について定めた法律です。人材紹介を行うにあたってのルールがこちらの法律で定められています。
改正内容について
【 1 】求人の明示項目
求人の記載項目について、以下の事項について明示義務が課せられるようになりました。
明示が義務付けられている項目
- 試用期間の有無
- 試用期間中の労働条件が、本採用の労働条件と異なる場合の労働条件
- 募集者の氏名または名称
明示すべきと指針に明記されている項目
- 派遣労働者として雇用する場合、雇用形態が派遣労働者である旨
- 固定残業代が含まれる賃金の場合は、①基本給、②固定残業代の額と固定残業代に相当する残業時間の長さ、③その時間を超えた場合の割増賃金を追加するかどうか。
- 裁量労働制の場合、裁量労働制の種類と何時間分働いたものとみなすか
求人企業や人事担当者から求人を預かった際に、、求人の明示項目が漏れていないかどうか、しっかりとチェックをしましょう。
【2】厚生労働省への報告義務
人材紹介事業者は、年に一度の労働局への報告と別に、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトに掲載する項目を追加で報告する義務が発生しています。報告する内容は以下の通りです。
- 各年度(各年の4月1日~翌年の3月31日)に就職した者の数
- のうち、期間の定めのない労働契約を締結した者(無期雇用就職者)の数
- 2のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理由で離職した者の数(※)
※離職者数の調査が必要ですが、返戻金制度に基づき手数料を返戻等した者の数を集計することにより離職者数を集計しても差し支えありません。- 2のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理由で離職したかどうか判明しなかった者の数
- 手数料に関する事項(手数料表の内容)
- 返戻金制度(※)の導入の有無及び導入している場合はその内容
※就職から一定期間以内に離職した場合に、手数料の一部を返戻する制度その他これに準ずる制度- その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報【任意】事項
これらのデータの集計は時間を要するものとなりますので、業務と合わせてデータを管理する方法も併せて考えていただくと良いでしょう。
【3】求人・求職管理簿、事業報告への記載事項
求人・求職管理簿について、2018年度(平成30年度)に就職した方についての情報から、これまでの記載事項に加えて、新たに以下の事項を記録することが必要と定められています。
- 期間の定めのない労働契約を締結した場合は、その旨
- 転職勧奨が禁止される期間(採用年月日から2年間)
例:採用年月日=2019(平成31)年4月1日
禁止期間 =2019(平成31)年4月1日~2021(令和3)年3月31日 - 無期雇用就職者については、就職から6か月以内に離職したか否か
※これらの項目について、2018年度(平成30年度)以前に就職した方についても、可能な範囲で記載することが望ましいとされています。
【4】労働局に提出する事業報告の追加事項
- 各年度の無期雇用就職者数
- 各年度の無期雇用就職者数のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理 由で離職した者の数及び離職したかどうか判明しなかった者の数
- 返戻金制度の有無及び導入している場合はその内容
- 職業紹介に従事する従 業員の人数及び従業員に対する教育の内容
それぞれ提出時期も定められていますので、厚生労働省のサイトより確認をしてください。
【5】紹介した求職者に対する留意点の追加
- 自らの紹介により就職した者(無期雇用契約に限る。)に対して、就職した日から2年間は、転職の勧奨を行ってはいけない。
- 手数料に関して、返戻金制度を設けることが望まれる。
- 求職者・求人者双方に、それぞれから受理する手数料の明示が必要。
- 求職者等を勧誘するに当たっては、お祝い金等の金銭を支給することは望ましくない。
【6】職業紹介事業者の遵守事項
- 職業紹介責任者は、職業紹介の従業者に対し、事業運営の改善向上のための教育を行わなければならない。(外部の講習への参加でもOK。)
- 職業紹介責任者は、「厚労省人事労務マガジン」に登録して、労働関係法令の最新の情報を確認しなければならない。
※第三者に代理で登録してもらうことなどにより、配信内容を確認することも差し支えはない。
「厚労省人事労務マガジン」はこちらより登録できます。
まとめ
今回は、2018年1月に改正された職業安定法の改正についてまとめました。新しく義務付けられている項目もありますので、漏れがないようにチェックをしておき、法律に則った事業運営ができるようにしましょう。
また、人材サービス総合サイトは、求職者も求人企業もチェックが可能なサイトです。しっかりと報告を行うことで、法律を遵守している会社である事を示すとともに、紹介した求職者に長期的に働いてもらうために、求人と求職者のマッチングの精度を磨いたり、就業後のフォローの仕組みも整えていくことがますます重要になっていくでしょう。
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