「求職者の方が元気になっていくのが、手に取るようにわかるのが嬉しい」藤野未来(株式会社grooves)後編

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「求職者の方が元気になっていくのが、手に取るようにわかるのが嬉しい」藤野未来(株式会社grooves)後編

人材紹介業「5つの魅力」とは?

――人材紹介業には、5つの魅力があるそうですね。

藤野 そうです。具体的には「高収益」「低資金で開業可能」「市場環境の良さ」「低リスク」「未経験でもOK」この5つになります。

まず「高収益」。1人の方が転職に繋がると、原価を引いても90万円前後の利益が出ます。月10名成功させれば、月収1,000万円を超えることもあるわけです。もちろん、独立してるか雇用されているかでインセンティブは変わってきます。

年収400万円の方が人材紹介会社経由で転職すると、企業から支払われる手数料がだいたい30パーセントぐらいなので120万円ぐらい。かなりの高収益だと思います。やはり、この点は開業される方には大きなメリットだと思いますね。

――前編で紹介したように、クロージングしかけたところで他の人材紹介会社に決まってしまうこともありますよね。相応にリスクを取っている結果、ともいえそうです。

藤野 そう思います。とはいえ、初回面談のときからしっかりと関係性を作れば、内定承諾に至るケースのほうが多いですよ。そのあたりは転職エージェントのウデ次第、関係性の作り方次第だと思います。

――伺っていて、藤野さんは本当のコミュニケーション強者だと思いますね。「話がうまい人」とかではないんですよね、コミュニケーションスキルが高いというのは。

藤野 初めて言われました(笑)。そうですかね、自分ではあまりわからないです。

最低15万円から開業可能

――続いて、「低資金で開業可能」

藤野 人材紹介業には有料職業紹介の免許の取得が必要なのですが、取得は15万円程度でできるんですよ。

――そんなに安いんですね!

藤野 細かいオフィスの要件、資産の要件もあるのですが、基本的にはそれだけです。法人化するとなれば別途かかりますが、最低ラインだと15万円から始められます。

ちなみに弊社が提供するキャリプロの独立支援プランは、60万円からです。ここでキャリアアドバイザーのノウハウをしっかり学べば、かなり低資金で事業を始められると思います。

――ありがとうございます。続いて「市場環境のよさ」。これは想像がつきます、これほどの売り手市場ですから。

藤野 そうですね、どこも人手不足で、求人数も求職者数も年々増えています。日本の労働人口がピークになり、これまでハローワークにしかお願いしてなかった企業様も、良い人材を取るためにはお金を惜しんではならない、「人材紹介会社を使って採用しよう」というマインドに変わってきています。

終身雇用の崩壊が始まっていることも要因です。例えば1社で長く勤め、社内異動を経て人事になった方よりも、27歳で2社経験し人事キャリアを計5年積んだ方のほうが採用される可能性は高くなります。

もう一つは、新卒の定着率が低下していることです。3年間で、約30パーセントが離職します。そしてその第二新卒が転職市場に入った結果として、求職者の総数が増えているんです。

加えて、事業承継や管理職の需要もあり、40代から60代の方の求人が増えています。跡継ぎがいない、M&Aをするのも難しい、とはいえ会社を閉じるのは忍びない……そういうケースですね。これまで転職が難しかった年齢層の方々も、風向きが良くなっています。

――僕は40歳でありがたいことに仕事を途切れずいただいているのですが、いよいよとなっても転職できるかもしれないのですね。

藤野 できますよ(笑)。

――勇気をもらえました(笑)。

持ち出しがほとんどないのも魅力だと思います

――次の魅力は「低リスク」ということですが。

藤野 やはり、モノを売るわけではないので不良在庫を抱える必要がないことです。モノを売るなら、仕入れて売って利益がいくら、ですが、人材紹介は、求職者さんを集めるのにも企業様を集めるのにも直接のお金は発生しません。

求職者データベース上でスカウトし、成約が出て無事入社になり、企業様から入金いただくタイミングで初めてデータベースの使用料を支払います。あとは、人脈で人を集められるなら、言い方は悪いですが原価ゼロです。低リスクであることは間違いないと思います。

――確かに持ち出しがないところはいいですね。そして魅力の最後のところ、「未経験でもOK」とのことですが。

藤野 はい。人材紹介業は未経験でもOKです。なぜ未経験でもキャリアアドバイザーができるかというと、皆さん就業経験自体はあるからです。アドバイザーや人材紹介の経験がなくても。

まずはご自身の得意分野、例えば製造業なら製造業を、営業なら営業、経理なら経理……という風に業界や職種を定め、コンサルティングを始めるのがいいと思います。私も前職が秘書だったので、最初に同い年の秘書の方の転職をお手伝いしました。

――藤野さん自身も、同業種から着手されたんですね。

藤野 そうなんです。やはり、就業経験がある分野だと求職者の方の気持ちや苦労もわかりますから。

人材紹介の流れってどの職種でも一緒なので、自分が知っている領域から成約までお繋ぎできたら、他の分野にも応用できます。そういう点で、未経験でもOKなんですね。

インタビューの様子

誠実さとスピード感は大切にしています

――5つの魅力についてご説明いただき、ありがとうございます。それ以外の魅力は、どういったところにありますか?

藤野 そうですね、求職者の方が元気になっていくのが手に取るようにわかることですね。

「転職しよう」と思った時って精神的に不安定な方が多いと思うんです。現状に満足していれば環境を変える必要はないわけですから。大小問わず何かしらのモヤモヤを抱えていらっしゃいます。

「上司と合わない」「こういうことやりたかったのに」とか、初めてお会いした時に、モヤモヤしていたり落ち込んでいた人が、私と話すたびに前向きになっていく姿を見ると、「いい仕事だな」と思いますね。

ワンステップ進むごとに表情がイキイキして、声の張りも変わってくるんです。アドバイスをしたり選考をすすめることで「仕事に対する考え方が変わった」と言ってもらえたり、やりがいを感じますね。

あとは、企業様から「いい人を紹介してくれてありがとう!」って言葉をいただくと、次に向けたモチベーションをもらえます。

――その中で、藤野さんが大切にしていることは何ですか?

藤野 誠実さとスピード感でしょうか。書類選考や面接対策など、細部までフォローすることも心がけています。

書類一つにしても、求職者から受け取ったレジュメを企業にそのまま渡すのではなく「自己PRにこういう部分を付け加えましょう」「この魅力を詳細に書きましょう」「この業務ならこんな事もなさってませんか?」とアドバイスします。求職者さんの良さを言語化して人事の方に伝えるためには、丁寧さが大事です。

ただ、スピードが遅くなっては意味がありません。一秒でも早く進められるよう意識しています。

――求職者だった立場なので、わかります。こちらを見ないで案件紹介してくる転職エージェントは、求職者側もわかるんですよね。こちらも不安ですから、通常よりも人を見ていますし。

藤野 同感です。私は、たとえ自分からの紹介で決まらなくても、その人と友達になれればいいと思っていて(笑)。私がご紹介した会社以外で決まった人につないでもらって、そこからクライアントさんを紹介いただいたこともありますよ。

精神的に自立しないと、務まらない職業です。

――締めに、「人材紹介に向いている人」について教えてください。

藤野 世話好きな人ですね。そして、感情に流されない人。これは大事だと思います、ひとりひとりに感情を入れ込みすぎると振り回されてしまうので。

――理解はすれど、共感しすぎない。

藤野 共感しすぎると、一緒に落ち込んでしまうことだってあります。主役は、あくまで求職者。前編でも話したようにプロとして振る舞う。そのバランス感覚は大事です。ただ、全員に備わっているものでもないと思います。やりながら身に着けるものかもしれませんね。

――藤野さんは、共感しすぎて失敗したことはありますか。

藤野 あります。転職エージェントを始めた頃は特に「なんでアドバイスを聞き入れてもらえないの」「もっとこうしたらいいのに」「ここまでお手伝いしたのに、なんで」とか思ってました。その上、上司にはめっちゃ怒られるし(笑)。

どこかで一人一人を追いかけすぎることや共感しすぎることを止めて、求職者の方を俯瞰するようになりました。プロの立場として的確にアドバイスする。そこから肩の荷が下りて、自然と求職者のみなさんを決められるようになりましたね。

――伺っていると、エージェント自身が精神的に自立していることも重要な要素ですね。

藤野 間違いないです。自立している人じゃないと務まらない職業だと思います。求職者と求人企業どちらもの期待値を調整できれば、こんな面白い職業なかなかないと思うので、これからもどんどんキャリアアドバイザーが増えて欲しいです。

ライター:澤山大輔

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片岡良彰

大手人材企業にて、人材紹介と求人広告の営業に従事、その後人材ベンチャー企業で新卒紹介・中途紹介の両面コンサルタントを経験。
得意業界は機械系・人材系。

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